解読不能

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朝、マンションの前で衛藤さんが待っていた。



「おはよう、衛藤さん! ……じゃなくて、裕哉!」



真木裕哉というのが潜入捜査での衛藤さんの名前らしい。

ちなみに倉林さんは石田亮二という名前らしい。生物の担当なんだとか。化学じゃないんだな。



「おはよう、蒼衣くん。捜査が終わるまではずっと一緒だからよろしくね」

「よろしくお願いします」

「敬語はやめてよー。今は同じ年なんだから」



見た目だけだと本当に同じ年に見えるよ、衛藤さんは。

フツーの高校生みたいな話をしながら俺たちは学校へ向かった。









「席、隣なんだなー」



先日までは誰もいなかった隣席に今は衛藤さんが座っている。

朝のホームルームを終えて授業の準備をしていると、背後から誰かに飛び付かれた。



「蒼衣、大丈夫かー?」

「広夢………離れろ、鬱陶しいな」



昨日授業中にメールをくれた親友を手で払う。大丈夫、こんなことじゃ友情は壊れないからな。



「裕哉、こいつは月城広夢。俺の親友」



俺たちのやりとりを見ていた衛藤さんに広夢を紹介した。すると二人はすぐに打ち解けたらしく笑っている。



「あ、そろそろ授業始まるから席戻るわ。また後でなー蒼衣、裕哉!」

「おー」

「後でねー」



広夢は廊下側の一番前の席に戻っていった。あの席って黒板見づらいんだよなぁ、光が反射して。

間もなく始業のチャイムが鳴り、生徒は慌ただしく自分の席についた。



一時間目の授業は生物。白衣を着た倉林さんが教室に入ってくると、女子たちが静かに騒ぎ出す。



「まずは昨日やった受容器と効果器の小テストを行い、それからセンターの問題を解いてもらう。
半分以下の点数の者には課題プリントを提出してもらう」



そう言って倉林さんは小テストを配り始める。渡ったら解き始めてもいいという結構アバウトなテストだ。

てか、俺大丈夫かな……? もう既に習った範囲だから、できてないといけないんだけども。




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