解読不能

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※微裏要素が含まれていますので苦手な方はP2を飛ばして閲覧して下さい













「梶さん………すっっっげぇ似合わない。はははははっ!」

「んなこと分かってるっての!」



梶さんは腕を組んでぷい、とそっぽを向いた。

放課後、梶さんが学校にやってきた。衛藤さんと倉林さんに用事があって来たらしい。それはいいんだ。



「営業マンっていうか、裏の世界の人だよ」



いつものカジュアルな服装ではなく、きっちりしたスーツ。おまけに眼鏡まで掛けてる。

学校に入るならそれなりに信用できる人間じゃなきゃ無理なのは分かるけども。



「あはははっ! こんなにスーツが似合わない人、初めて見た」

「ったく、いい加減笑うの止めろよ……」

「はいはい」



夕日で赤く染まった廊下を並んで歩く。校庭から運動部の掛け声が小さく聞こえている。

角を曲がって階段に差し掛かった時、



「あっ」

「どうした?」

「忘れ物取ってくる!」



そう言って俺は来た道を戻る。教室まで戻って机の中から問題集を取り出した。

宿題で使うんだよ、これ。勉強は嫌いだけど宿題は(一応)やってるんだぜ?

問題集を鞄に突っ込んで引き返そうと教室の扉を開けると見覚えのある顔。



「広夢? どうしたんだよ、部活中だろ?」

「ちょっと忘れ物してさ〜」



と、広夢が机から取り出したのは俺がさっき鞄に入れたのと同じ問題集。



「今日は下校時間ギリギリまで部活だから今のうちに取ってこようと思って」

「大変だな……。んじゃ、頑張れよ!」

「あぁ! また明日な、蒼衣」



広夢にひらひらと手を振って俺は教室を出ていった。

あまり待たせるのも気が引けるから全速力で廊下を走る。人がいない廊下を走るなんて初めてだ……。

そしてそのまま勢いよく階段を降りる。一段、二段………そして残り数段ほどになった時、足元が滑った。



「うわっ!!」



やべぇ、落ちる……っ!!




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