解読不能

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まだ、唇に感触が残ってる。

そっと指で撫でるとそれだけで梶さんとの激しいキスを思い出した。



「……ッ」



意味分かんねぇ………何で梶さんはキスしたんだ? 何で俺は拒まなかったんだ?

偶然だと思いたいけど、あのとき確かに梶さんは俺の頭を押さえ込んだ。



てか、梶さんは何事もなかったかのようにフツーに接してくるのが理解できねぇ……。

俺にとっては激しいキスだったけど、梶さんにとっては挨拶みたいなもんだったのか?



「神崎、神崎」



俺だけあのキスに振り回されてるのが、何か……嫌だ。すげぇ嫌。

まるで俺だけ意識してるみたいじゃん。



「神崎ー」



意識してるってのはおかしいだろ。俺はただキスの真意が知りたいだけだ!

だって、あんなの………有り得ないって! 拒むどころか最終的に俺は自分から求めてた。

もしや欲求不満か? 俺も梶さんも偶然そうだったのか?



「神崎っ!!」

「は、はいっ!?」



……しまった。今は授業中だった。しかも学校一怖い先生の英語。

教室中から憐れみの視線が送られる。そんな目で見ないでくれ、傷つくから。



「放課後、職員室に来い!」

「……はい」











「説教一時間に課題プリントかよ……」



職員室からの帰り道、渡されたプリントを見て溜め息をついた。

いや、俺が悪いんだけどさ。

昨日と同じく赤く染まった廊下を歩く。昨日と違うのは衛藤さんと一緒に帰ること。




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