解読不能
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朝、朝食を食べ終えて身支度を整えた後、梶さんに呼び止められた。
「どうしたんだ?」
「話がある。少しいいか?」
俺は頷いてソファーに座った。梶さんは立ったままだ。座ればいいのに。
「実はな…………」
「進藤が!?」
開いた口が塞がらない、とはまさに今の状況を指すんだろうな。
「嘘だろ……進藤がZER0の売人だなんてさ……」
「…………」
項垂れる俺を慰めるように、梶さんは俺の頭に手を置いた。
「情報が必要なんだ……進藤リエナについて教えてくれないか?」
「…………分かった」
辛い気持ちを押し殺して俺は知っていることを話し始めた。
俺と進藤は中学から一緒だということ、進藤は大人しくて優しい子だということなど、あらゆることを話した。
「他には?」
「んー……親とはあまり上手くいってないって言ってたな」
それを初めて聞いたときはすげー驚いたな。勝手に仲のいい家族を思い浮かべてたからさ。
「そうか。ありがとう」
「それで、進藤の行方は掴めそうなのか?」
「今、町で進藤の情報を聞き込みしてる。薬の売買に関わってるんだから情報は出てくるだろう」
「ふぅん……」
梶さんは売人って言ってたけど、売ってるだけで使ってないといいな……。
そこまで考えて、気付く。
進藤が、俺を見張っていたんじゃないか────
「……違うに決まってんだろ……」
友達を疑うなんてダメだ。そんなわけない、と否定して俺は立ち上がった。
あと10分くらいで衛藤さんが迎えに来る。そろそろ出なきゃな。
ソファーの背凭れにかけてあった上着を着て指定鞄を持つ。
「行ってきます!」
「気をつけてな」
梶さんに声をかけて部屋を出た。そしてエレベーターに乗り込む。
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