解読不能
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「「!?」」
曲がった先には進藤ではなく、鉄パイプやバットを持った男たち。
一目見てすぐに俺たちを待っていたと分かった。
「っ逃げるぞ!」
衛藤さんの腕を掴んで元来た道を走る。大通りに出れば撒けるはずだ。
もう少しで大通りに出られる……!
けれどそう甘くはなかった。
「逃げ道は無いぜ、ガキども」
前と後ろには物騒な連中、横は壁。まさに四面楚歌だ。ヤバイ……。
「蒼衣くん……」
「やるしかねぇか」
と言っても俺たちは丸腰だし、勝率はかなり低い。武器になりそうなものは鞄くらいしかない。
さぁ、どうする? どうやって切り抜ける?
学校にて────
静まり返る下校間近の学校。教職員も、部活で残っていた生徒もほとんど帰ってしまっている。
生物の授業用の小テストを作り終えて俺も帰ろうと荷物を纏めた。
「……連絡が無いな」
いつもなら蒼衣を送り届けた後、カイから連絡が来るはずなのに。
何となく胸騒ぎがする。
カイのケータイに電話をかけてみる。いつも必ず2コール以内で出るくせに、出ない。
「役立たず…………何してやがる」
今度は蒼衣のケータイに電話をかける。出ない。気付いてないのか?
ケータイをポケットに突っ込み、生物準備室に鍵をかけて職員玄関に向かった。
「……?」
ガシャーン、という音がした。音のした方向にはフェンシング部専用の練習場があった。
下校を促すべく俺はそこへ足を踏み入れた。
「おい、もう下校時間だぞ」
中にいたのは一人。蒼衣とよく一緒にいる月城広夢だった。
「あぁ、すいません。もう帰ります」
そう言って月城は慌ててフルーレを拾い上げ、片付け始める。
さっきの音はあれが落ちた音だったのか……。
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