criminal

□FILE.2 Secret Garden
72ページ/94ページ



「あら、待ちくたびれちゃったのよ。来るのが遅いから」

言いながら、吸っていた煙草を地面に落とすと足で火を踏み消した。

医者の不養生とは、まさに目の前の女性の為にある言葉だろう。

だがグラマーなその女史……レイジー・グラツィアは全く気にする様子はない。

そう、この悩ましい色気を醸し出す女医こそが、くだんの煌の主治医で。

1年前、共にデストリーから離反した共犯者だ。

眼鏡を外して胸ポケットへと直し、バレッタで纏めていた髪を無造作に外せば、茶褐色の髪が緩やかな曲線を描きながら揺れた。

その1つ1つの所作すら、どこか艶かしい。

「とりあえず、ここじゃ目立つわ」

―― 入りなさい

そうレイジーに促されるまま、院内へと足を踏み入れた。



次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ