criminal

□FILE.2 Secret Garden
67ページ/94ページ



この1年で少しは成長したつもりだった。

だが結局は、自制のきかない未熟なままで。

欲望のままに、煌を貪った。

「……煌……」

そっと、名を呼ぶ。

「煌、愛してる」

それは、でも、ハジマリにすらならないことを、カルノは重々承知していた。

何度囁いても煌に届く事はないと判っていて尚、手放せないのだ。

「ごめんな?煌……俺は、お前に“ジユウ”をやるつもりはないんだ」

それは、懺悔というよりも宣誓に近い響きを持っていた。

そして、再度強く抱き締める。

今はこの腕の中の温もりが、聞こえる吐息が、伝わる鼓動が本物だと感じていたくて口を噤んだ。



次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ