†long†

□涙の詩
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1.愛するひとよ

あたしは、今まで平凡な生活を送って来た。
普通に学校に行って、友達もいて。
バイトしたり恋愛したり。
彼氏が出来たり。

全てが動き出したのは高校1年の冬だった。



ここは高校の近くのファーストフードの店。
高校から近いのもあって、同じ制服の子もちらほら見掛ける。
その横をすり抜けて奥のテーブル席に向かった。
そこには3人の先客がいた。

「詩音、携帯あった?」

奥のソファに座っていた女の子が声を掛けた。
あたしはその隣りに座りながら言った。

「うん。やっぱ机の中にわすれてた」

声を掛けてたのはあたしの親友、和葉だ。
柔らかいセミロングの明るい茶髪をゆるく巻いている。
あたしは肩までしかないから羨ましい。
和葉は生まれつき色素が薄い、あたしのこげ茶の髪が羨ましいらしいけど。

向かい側の椅子に座る2人は竹田光輝と安井保。
光輝はやんちゃであたしたちの盛り上げ役。
保はクールでお兄系。
2人は中学からの親友なんだって。

あたしたちは高校で出会い、仲良くなった。
いつもこの4人でいることが多いんだ。

2学期の期末テストが終わったあたしたちの話題はもっぱらクリスマスのこと。
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