†song†

□キセキ
2ページ/3ページ

体力のなさは私の弱点。
図星をつかれて腹が立つ。

「空だってミスって怒られてたじゃん」

空の頭をはたいて走り出す。

「てめーこのやろー!」

空が両手を振り回して追いかける。
いつもふざけあってた帰り道。

「なぁ、花梨!」

少し前にいた私を空が呼び止める。
また余計なことを言うのかと思ってふりかえると、いつになく真面目な表情をした空がいた。
夕焼けに染まるいつもの道。
時間が止まったような気がした。

「俺さ、花梨のこと好きだよ」

私は思わず、手で顔を覆った。
うれし涙があふれる。

うん、と頷くしかできない私の頭を空がそっと撫でた。

「そんなに泣いてんの、初めて見た」

「もう! 泣かしたのはあんたでしょ」

これから先もずっと一緒にいたいと、そう思ったんだ。


それから、いろいろもいろいろあった。
喧嘩したり別れ話までしたこともあったけど、やっぱり空のことが大好きで。
何があってもそばにいる、そう決めた。

前を歩く空を追いかけ、その左の手のひらをそっと包み込んだ。
温かい手から伝わってくる愛を感じて、私はポツリと呟いた。

「私、幸せだよ」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ