†song†
□キセキ
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体力のなさは私の弱点。
図星をつかれて腹が立つ。
「空だってミスって怒られてたじゃん」
空の頭をはたいて走り出す。
「てめーこのやろー!」
空が両手を振り回して追いかける。
いつもふざけあってた帰り道。
「なぁ、花梨!」
少し前にいた私を空が呼び止める。
また余計なことを言うのかと思ってふりかえると、いつになく真面目な表情をした空がいた。
夕焼けに染まるいつもの道。
時間が止まったような気がした。
「俺さ、花梨のこと好きだよ」
私は思わず、手で顔を覆った。
うれし涙があふれる。
うん、と頷くしかできない私の頭を空がそっと撫でた。
「そんなに泣いてんの、初めて見た」
「もう! 泣かしたのはあんたでしょ」
これから先もずっと一緒にいたいと、そう思ったんだ。
それから、いろいろもいろいろあった。
喧嘩したり別れ話までしたこともあったけど、やっぱり空のことが大好きで。
何があってもそばにいる、そう決めた。
前を歩く空を追いかけ、その左の手のひらをそっと包み込んだ。
温かい手から伝わってくる愛を感じて、私はポツリと呟いた。
「私、幸せだよ」