†long†

□Rainy days
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雨の日は嫌い。
いい思い出なんて1つもない。

お父さんが死んだ日も
お母さんが知らない男を連れ込んだ日も
別れを切り出した初彼に無理矢理初めてを奪われた日も

いつでも雨が降っていた。
 
 
 
Rainy days
 
 
 
雨が降ると嫌なことを思い出す。
忘れ去りたい過去の出来事。
普段はなんとか蓋をしているけど、雨がその蓋を溶かしてしまう。
だから、雨の日は1人ではいられない。
誰でもいいからそばにいてくれる人を求めてしまう。
その代償は大きいけど、もう汚れてしまったあたしにはどうでもいいことだった。

「ねぇ、1人?」

ある雨の夜。
今日もあたしは駅前広場のベンチに座っていた。
雨に濡れても気にしない。
そんなあたしに傘を差し出した人。

「そうだけど何?」
 
 
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