†song†

□キセキ
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キセキ

白に覆われた式場。
広い会場に向かってテーブルはあなたと私の席。
見渡す先にはたくさんある丸いテーブル。
今はガランとしたこの場所も明日にはたくさんの笑顔で包まれるのだろう。

「花梨。そろそろ戻ろうか」

名を呼ばれ振りかえると、優しい笑顔のあなたがいた。

「そうね、パパ」

笑って言うと、空はふくれる。

「俺は花梨のパパになった覚えはないぞ」

そう、私たちは明日結婚する。
空とは学生時代からの付き合い。
私が妊娠したのをきっかけに結婚することになった。

「そーら! 何ふくれてんのよ」

「俺は! 結婚しても子どもが産まれてもおじいちゃんおばあちゃんになっても、名前で呼び合えるような夫婦でいたいの!」

そう言い切った空はあたしを置いて歩き出した。
後ろから見える耳が真っ赤に染まっている。
素直で照れ屋な空がずっと好きだった。


私たちの出会いは高校生の時。
偶然、同じ高校で同じクラス、同じ部活同じ帰り道。
部活のメンバーで学校を出て、最後には2人になる。
その時間が私には何より大切だった。


「今日も疲れたなぁ」

「お前体力ないもんなぁ」
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