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□不意打ち
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日本に生を受けた私は、本来なら日本人らしくシャイで人見知りで。いくらイギリスに留学してると言っても、奇跡的に彼氏と呼べる存在ができたとしても、こっちでのコミュニケーションに慣れたとしても、これはない。ない。

「あの、ね、」
「うん?」
「…これはどういう状況なんでしょうかねリーマスさん」
「僕が君を膝の上に乗せてるんだよフウカさん」
「あ、そう…」

 羞 恥 で 死 ね る !!
ここは全校生徒の四分の一とはいえ、グリフィンドール生が利用する談話室なわけで。つまり公然とイチャついてるわけで。

「り、リーマス」
「なあに フウカ?」
「ん、なんでもない」

でもご機嫌そうな彼には言えないわけで…!!とりあえず当面の問題として、そこで笑ってる黒犬と眼鏡は後でリリーに絞めてもらおう。

おかしいな、さっきまで向かいに座ってたはずなのに。ヒョイと簡単に膝に乗せられて、リーマスは向かいに座ってた時と同じようにチョコを食べはじめて…。うん、どうしてこうなった。

「 フウカも食べる?チョコ」
「え、い、いいよいいよ!リーマスが全部食べなよ。好きなんでしょう?」
「うん。だから好きな人と好きな物食べて幸せになりたいんだ」

不意打ちで顔が真っ赤に染まる。火照る頬を両手で抑えて熱を冷ますことに専念した。けど、そんなことを言われたら断れるわけもなくて、私は恐る恐るチョコをかじった。所詮、あーん、である。

「おいしいでしょ?」
「…ん 、おいしいよ」

私の返答に満足したのか、リーマスはふふっと微笑んだ。可愛いなぁ。さっきから不意打ちが多くて顔が熱い。あ、そういえば、

「どうして私を膝に乗せたの?」
「…だって、」
「だって?」



「 いつでも君を近くに感じてたいんだ 」



やっぱり不意打ちは、卑怯だと思います。

いつの間にか私とリーマスだけになってた談話室。気を使ってくれたのだろう、罪悪感が少し出てくる。でもそれよりも、私はリーマスの肩に顔を埋めて、真っ赤になった顔を隠すので必死だった。





不意打ち





(僕って案外寂しがり屋なんだ)
(そう言って抱きしめてくれた彼の温もりが、)
(大好きすぎて泣きたくなった)





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