HPlong

□9と3/4番線から
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「アキラー、どこー?」


同じくキングスクロス駅のホーム。ハルキは待ち合わせ場所に着いたものの、人の波に飲まれアキラを見つけられずにいた。鳥籠の中でココと名付けられたら梟が一つ鳴いた。


「ごめんねココ、騒がしいけど我慢してね」


魔法界もイギリスも何もかもが初めてのハルキにとって、新しいものは驚きとワクワクもあれば不安もある。まあ、今はどちらかというと不安が勝っているだろう。


──スリッ

「きゃあ!?」


突然足にすり寄ってきた感覚。柔らかいそれに慌てて辺りを見渡すと頭に軽い衝撃がきた。


「ビックリした〜、犯人はあなたね、紅葉!」


あたりまえのように頭の上に鎮座している三毛猫、紅葉に小さく遺憾の意を表すアキラ。紅葉は頭の上で大きく遠吠えした。


「ハルキ!こんなところにいたのか!」

「アキラ!!」


遠吠えをヒントにハルキを見つけ出したアキラ。紅葉はアキラの頭に飛び移る。グエッ、と変な声がから漏れた。


「どこにもいないから心配した」

「ごめんね、見つけられなくて…」

「いいよ、どこも怪我してない?疲れただろうし、早くコンパートメントに行っちゃおうか」

「うん」

慣れない文化に魔法界。ハルキは早くも疲れを感じていた。

「友達は見つかったかい?」

「見つかったよリーマス、一緒に探してくれてありがとう!」

「いえいえ」


アキラの後ろからやってきた男。先ほど友達となったリーマスだ。アキラは少し驚いた後、はじめまして、と声をかける。


「あ、紹介するよリーマス。自分の幼なじみ兼友達のハルキ・アカバ 。ハルキ、こっちはさっき友達になったリーマスだ」

「よろしくハルキ」

「あ、よろしくお願いしますリーマスさん!」


少しの緊張と嬉しさで顔が熱くなる。リーマスは穏やかに微笑んで見せた。


「アキラの友達も見つかったことだし、私はもう行くことにするよ」

「わかった。また会おうよリーマス、絶対手紙書くから!」

「うん、待ってるよ。じゃあ、またねアキラ。それとハルキも」

「は、はい!また今度」


リーマスはそのまま人混みの中に紛れていった。アキラは非常に上機嫌だ。


「そういえばアキラ、9と3/4番線ってどうやって行くの?」


ハルキの純粋な疑問だった。先程駅員にきいてみたが変な顔をされただけで結局場所はわからなかったのだ。
アキラは何か思いついたようにニヤリと笑った。


「9番線と10番線の間に柱が見えるだろう?」

「うん」

「コツは恐れず走ること。怖くて目をつむっても、ハルキなら通れるよ」

「え、どういう…」

「わからない?………突っ込むのさ!」


止める間もなく、なんて言葉がピッタリだ。アキラはカートごとダッシュすると柱に向かって一直線に突撃する。ぶつかると思われたそれは、だがハルキの予想を裏切ってアキラを飲み込んだ。


「え、…えぇぇえええ?!」


魔法界に慣れるには、まだまだ時間がかかりそうだ。
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