HPlong
□9と3/4番線から
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「酷いアキラ!私をからかったのね!」
「ごめんごめん、でも面白いだろう?」
そう言われるとぐうの音も出ない。面白いことが大好きなハルキにとって、柱の仕掛は斬新で興味をそそった。だからといってアキラの悪戯は少し許せないが。
「あ、ここに同席させてもらおうよ」
「うん」
そう言って二人が入ったコンパートメントには先客がいた。まるで鏡に写したような双子。アキラは初対面だが、ハルキは見覚えがあった。
「フレッド!ジョージ!」
「「ハルキじゃないか!」」
「え、ハルキこのドッペルゲンガーズと知り合いなの?」
「アキラ、ドッペルゲンガーズとか失礼だよ…」
双子に開けてもらったスペースに向かい合って座るハルキとアキラ。フレッドが残念そうにもう少し前に来ればタランチュラが見れたのに…、と言った。遅れてよかった。ハルキの心の声である。
「ハルキ、この子は君の友達かい?紹介しておくれよ」
「随分イカしたボーイフレンドじゃないか!」
「違います!こっちはアキラ・ミナノ、私の幼なじみ」
「なんだ違うのか。初めましてMr.ミナノ、俺はフレッド」
「俺がジョージ」
「「悪戯仕掛人のフレッド&ジョージ・ウィーズリーさ!!」」
「よろしくドッペルゲンガーズ」
アキラはそれはもう清々しい顔で挨拶してみせた。フレッドもジョージもドッペルゲンガーズ呼びに文句はないらしくよろしく!とニコニコ笑っている。
「ネクタイが赤いってことは、二人はグリフィンドールなの?」
「そう!勇気ある我が寮をご存知かい?」
「ハルキ、君ももちろんグリフィンドールに来るんだろう?」
「そうそう、ハルキには赤が似合うしね!」
「「決めた!ハルキは我らがグリフィンドール生だ!」」
声を揃えて言う二人に、ハルキは苦笑いを零した。アキラが言うには組み分けは帽子が決めるのだ。決して双子に決定権は無いはずなのだがこの自信。一体どこからくるのだろう、とハルキは内心首を傾げた。
「アキラはどこがいいの?」
「どこでも」
笑ってはいるが先程からあまり会話に参加しないアキラに話を振れば、一言で終わってしまった。そんなアキラに向かって双子がグリフィンドールがいかに素晴らしい寮かを語るが、受け流されている。
「アキラはどこの寮に行きたいとかないの?」
「うーん、あんまり。強いて言うなら面倒くさくないところ」
「グリフィンドールが一番だよ!なんたって勇猛果敢だからね!」
「別名・猪突猛進とも言うよね」
「スリザリンは最悪だ!スリザリンだけは止めておいた方がいい」
「平和ならスリザリンでも構わないさ」
「「うげぇ!君変だよアキラ!」」
「うわー殴りてえこのドッペル」
「笑いながら言うことじゃないでしょ…」
そもそも偏見を嫌うアキラのことだ。双子のグリフィンドール贔屓とスリザリンの悪口に気分を害していたのだろう。ハルキは人知れず溜め息を吐いた。
「そういえばハルキ、アキラ、そろそろ着替えた方がいいんじゃないか?」
ふいにジョージが切り出した。コンパートメントの窓を見れば遠目に僅かだがホグワーツ城が見える。
「本当だ、話に夢中で気付かなかった…ってアキラ?」
「ん?」
ハルキの疑問の先、それはアキラが魔法で着替えた制服だった。ワイシャツに新入生の黒いネクタイ、それから…。
「ズボン?」
「まあ勘違いってよくあることさ」
それじゃあ済まないと思うのは私だけなのだろうか。ハルキは頭を抱えた。