HPlong

□組み分け帽子の采配
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「じゃあなハルキ!アキラ!」

「グリフィンドールで待っているよ!」


コンパートメントを降りて、新入生と在校生は別れるらしく、フレッドとジョージは馬車に乗っていった。


「イッチ年生!イッチ年生はこっちだ!」


遠くで見たことのある巨体がランプを持って誘導している。ハグリットだ。近くに見慣れたクシャクシャの髪と、先程まで一緒にいた赤毛が僅かに見える。


「綺麗だねえ」

「ボートに乗ったらもっときれいに見えるよ」


湖の上にそびえ立つ城。大広間の明かりが湖面に反射してきらきら光っている。その幻想的な雰囲気に、ハルキは思わず息を止めた。


「来たよ、ホグワーツ…」


これからの学校生活が、この風景のように煌びやかであるようにと願った。





━━━





「これからアルファベット順に名前を呼びます。」


ついに始まる組み分け。ハルキは緊張して無意識に肩に力が入っている。アキラも、いつものヘラヘラした笑顔を消して、真剣にマクゴナガル女史の話を聞いていた。大広間の中央に置かれたボロボロの帽子が、これからの学校生活を左右するとなると不安だった。





私は綺麗じゃないけれど
人は見かけに寄らぬ物

私を凌ぐ賢い帽子
あるなら私は身を引こう

山高帽子は真っ黒だ
シルクハットはスラリと高い

私はホグワーツ組み分け帽子
私は彼らの上を行く

被れば君に教えよう
君が行くべき寮の名を

グリフィンドールに行くならば
勇気ある者が集う寮
勇猛果敢な騎士道で
他とは違うグリフィンドール

ハッフルパフに行くならば
君は正しく忠実で
忍耐強く真実で
苦労を苦労と思わない

古き賢きレイブンクロー
君に意欲があるならば
機知と学びの友人を
ここで必ず得るだろう

スリザリンではもしかして
君は真の友を得る
どんな手段を使っても
目的遂げる狡猾さ

被ってごらん恐れずに
興奮せずにお任せを

君を私の手に委ね(私は手なんか無いけれど)

だって私は考える帽子!





大広間に響いた歌声。組み分け帽子の中身はどうなっているのだろう、と真剣に考えているアキラとは別に、ハルキは魔法界の神秘に素直に感動していた。


「アボット・ハンナ」


ハッフルパフ!帽子は少し考えてからそう叫んだ。自分のアルファベットの順番を数えて、迫る組み分けに心躍らせる。不安と期待の入り交じる中で、心臓はもう限界が来そうだ。


「ハルキ・アカバ!」


びくっと思わず体が跳ねた。隣のアキラを見ればいつものように笑っていて、そのいつも通りに少し安心した。


「行ってくるね」

「ハルキなら大丈夫さ、頑張っておいで」


さり気なく背中を押してくれる。肩の荷が少し下りた気がした。ふと、視界の端に見慣れた赤毛か写る。


(( ま っ て る ! ))


口パクですらピッタリ合わせてくる双子に笑みがこぼれた。行き過ぎた緊張はいつの間にか消え、頭に帽子が被せられる。


『おや、君はアカバ家の子かい?いやぁ懐かしい!君の両親の組み分けをしたのがつい昨日のようだ』

「(私の両親を、知ってるんですか?)」

『ああ、知ってるとも。君はとても二人に似ている』

「(あの、私の両親ってどんな人だったんですか?)」

『その話はまた今度にしようじゃないか。今は組み分けだ』


そうだった、ハルキは慌てて椅子にきちんと座り直した。


『うーむ、勇気があり、そして他者を思いやれる心を持っている。学びたいという意欲もあるし、何かを守るためなら手段を選ばないだろう。うーむ、悩む、悩むぞ…』


え、買いかぶりすぎでは…?ハルキは思わず微妙な顔をした。それが分かったのか遠目にアキラが笑みを深めた。


『ハルキ、君はもしかしたら、このホグワーツで大きなことを成し遂げるだろう。そのためには…』





───グリフィンドール!!
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