HPlong
□組み分け帽子の采配
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響いたものは獅子を告げるものだった。グリフィンドールの席で双子が大げさに騒ぐ。
「おめでとう」
ネクタイを受け取ってグリフィンドール席に向かう途中、アキラの声が聞こえた。
「待ってたぜハルキ!」
「我がグリフィンドール寮へようこそ!」
「「入学おめでとうハルキ!!」」
「ありがとう!ジョージ、フレッド!」
双子に開けてもらった席に座って、ニンマリと口元に弧を描く。今は先程のアキラの言葉も、フレッドとジョージの言葉も、素直に嬉しいと感じる。
「ポッター・ハリー!」
しん、先程までの騒音が嘘のように静まりかえる。遠目に見てもハリーの表情が固まってるのは明らかだ。
(ハリー、頑張って!)
まるで弟を心配する姉のようだ、とどこか冷静な頭の隅で思った。
「グリフィンドール!!」
暫く悩んだ後叫んだのは、獅子だった。隣の双子がポッターを取った!と大袈裟にはやし立てる。注目されることに慣れてないのか、ハリーはさっさと席に着いてしまった。
「見たかいハルキ?!俺たちハリー・ポッターと同じ寮だぜ!」
「これは光栄なことだ!今夜はグリフィンドールはお祭り騒ぎだ!」
別にハリーがどの寮でも、グリフィンドールなら今夜はお祭り騒ぎであろうことはハルキにも容易に予想できた。ふ、と、ハリーと視線が合った。
「一緒の寮になれて嬉しいよ」
「こちらこそ!よろしくハリー」
隣の双子がなんだい?二人とも知り合いなのかい?としつこく絡んでくるが、ハルキはそれさえも笑顔で交わした。
「アキラ・ミナノ!」
先程までの笑顔が消え、真剣に組み分けを見出したハルキ。アキラは暢気に手を振ってからどっこいしょ、と言って椅子に座った。爺か!というツッコミはハルキのものである。
自分と違い、欠片も緊張していない様子に、僅かに不信感を抱いた。