HPlong

□真夜中の決闘
3ページ/4ページ






真夜中のトロフィー室は昼間とは違った雰囲気をかもちだしていて。ハリー、ロン、ハルキ、ハーマイオニー、ネビルの五人は無意識にのどを鳴らした。

太った婦人の不在により巻き込まれる形となったハーマイオニーとネビル(もっともハーマイオニーは半ば自主的ではあるが)も、グリフィンドールの性なのか内に秘めた好奇心を隠せずにいた。ハルキが手元の時計を見る。「10分経ったわ」ボソボソ声をかけた。


「遅いな。きっと怖じ気付いたんだよ」


ロンの言葉に誰も反論しないのは、話題の中心である彼が自寮から見てもビビりであるからであろう。とにかく決闘にならずに済みそうで、ハルキはこっそり息を吐いた。


「いい子だ、しっかり嗅ぐんだぞ。隅のほうに潜んでいるかもしれないからな」


物音とハリーが杖を振り上げたのが5人のそれぞれに感じられた。マルフォイではない嗄れた声はブツクサ言いながら確実に近づいてくる。──こっちだ。ハリーが先頭に立って声をかけた。

静かに、でも確実にフィルチから逃げていた。その時ネビルが、ロンを巻き込んで鎧を倒すまでは。──ガラガラガッシャーン


「走って!」


誰とも知れない声が響いて、5人は緊張ですくむ足をせっせと動かして走る。相手は魔法の使えない老人だからか、案外あっさりと撒けた。息を整える中で顔を上げれば、スリザリンの象徴である緑のローブが揺れた。


「た、助かったよアキラ」

「それは何よりだよ」


いつものように口角をやんわりつり上げた落ち着いた笑みは最後に会った大広間で「おやすみ」を言った顔と何ら変わりない。ありがとう、ハルキがそう声をかけると、予想通りのどういたしましてを貰った。


「でもあまり役に立てなかったみたい」

「え、」


アキラが小声で言った──ピーブスだ。

真っ青になる5人。アキラは明らかさまに顔をしかめている。ロンが頼りなくピーブスに大人しくするよう頼んでも、ピーブスは相変わらずゴースト特有の青白い顔でニタニタ笑って見せた。


「真夜中にフラフラしているのかい?一年生ちゃん。チッ、チッ、チッ、悪い子、悪い子、捕まえるぞ」


チッ、ピーブスにも聞こえたであろう盛大な舌打ちをかましたアキラは、ポケットから杖を取り出して構えた。


「黙れ、ピーブス。さもないとお前が何か言う前に『逆詰め』するよ」


その言葉にピーブスは一瞬怯んだが、すぐにまたニタニタ笑い出した。


「生徒がベットから抜け出した!──『呪文学』教室の廊下にいるぞ!」

「──っアキラ、速く!」




.
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ