青学short

□blue down
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雲一つない、とは言えないけど澄み渡った青空が、私を見下している。まるで私を嘲笑うかのよう。そして私も空に向かって嘲笑する。


「陽…」


空から少し視線を外せば、愛して止まない彼の姿。彼の頬の擦り傷を撫でると、元々赤かった其処はもっと赤くなった。おかしいな。


「陽…」
「なあに?りょーまくん」
「陽…っ」


どうしたの?きょうはやけにやさしいね。私の頬を撫でる彼の手のひらから伝わる熱に目を細める。


「りょーまくんやさしいね。だからおんなのこににんきなのかな?」
「俺が優しくするのは、陽だけだよ、」
「ふふ。そんなこといわれたら、かんちがいしちゃうよ」
「いいよ、そう言う意味だから」
「ふふ」


私が笑ったら、彼が泣きそうになった。嗚呼、周りが煩い。彼の言葉が、聞こえないじゃない。


「、じゃあこいびとみたいにてをつないで、」
「陽」
「いろいろなところにいっぱいいこ、っか、」
「陽、」
「たまに、は、りょ、ま、くんと、て、にすも、いいかも…」
「陽…っ」
「そ、れで、たま、には、わたしがっ、りょま、くん、を、だきしめッ、て、」
「陽ッ、」


貴方の歪んだ顔が、視界いっぱいに広がる。唇の感覚なんて殆ど無くて、でも私は嬉しくて。


「愛してる、陽…」


私の体は、彼以外の人に持ち上げられたようだ。彼を隠すように白がちらつく。やめて、彼を隠さないで。


「わた、し、も、」


嗚呼、貴方の斜め後ろにあるトラックの下敷きになったままの私の下半身があれば、今すぐにでも貴方に駆け寄って愛の言葉を囁くのに。





私は貴方に別れを告げました。貴方は私に愛を囁きました。





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