氷帝short

□小さくて大きな声
1ページ/1ページ


「本当にこれでいいのか?」

「うん、前から興味あったし。」

さくて大きな声


今日は若の家に
古武術の稽古を見に来ました。
まぁ、本当はそんなに古武術詳しくないんだけど
若と一緒に居たいっていうか、その…。

「お前がいいなら、いいんだ」

「うん、それに若の意外な面も見れたし。」

「は?」

「だってテニス以外でそんなに汗かかないじゃん。」

「だからなんだ?」

「汗も滴るいい男っていうの?その、とにかくかっこいい。」

「ば…み、水だろ…っ」

といいつつも若が照れたのを
私は見逃さない。
悪戯に笑って言う。

「ほら、フォーム崩れてるよ!」

「チッ…陽覚えてろよ…。」


しばらく稽古の音のみが響く。


陽の一言で火がついたのか
日吉も稽古に余念がない。


「もう少し近くで見ていい?」

本当にすごかった。
言葉が出ない位。
だから、少しでも近くで見たかった。

「ぁ、ああ、構わない。だが怪我しないようにな」

短い会話を交わすと
また稽古へと戻る。

間近で見ると凄い迫力だった。しかし、美しい、という
言葉を使っても間違っていない気もする。
何れにせよ、古武術に集中している日吉はかっこよかった。
流れる汗も拭わず黙々と励む姿に
思わず言葉が漏れた。

「…かっこいい…。」

「ぇ、うわ!?」

バターン

一瞬何が合ったのかわからなかった。

「なんで若さぁ、私の上にいんの?」

日吉が陽に覆いかぶさる形だ。

「陽が変な事言うからだ。」

要は陽の「かっこいい」という言葉に
動揺してバランスを崩したらしい。
体力も限界だったから
持ち直せなかったようだ。

「少し位恥ずかしがれよな…」

「いや、あまりにもビックリしてしまって…。」

「フン…」

「いや、どこうよ。」

「言っただろ?覚えておけってな。」

「は?」

ちょ、この展開マズくね?

「さぁどうする、あぁ親は今いないんだ」

耳元で言われる。

「へ?////」

「フン…」

日吉がゆっくり陽から離れる。

「何すんのさ!」

「なんだよ、満更でもなかったくせに」

「アンタばか!?そんなことあるわけ…っ」

「押し返せただろう?」

「…はい。」

「まぁいい。もう休憩だ。」

そういって道場からでていった。


「〜っ////」

思いだして熱くなる。
これは多分道場の熱気のせいだ。多分。

「若の馬鹿ぁっ!」



.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ