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甘いものが好き。
甘いものを食べるのが好き。
作るのはもっと好き。

そんな理由からお菓子やケーキ作りを始めて早7年。始めたきっかけは最早忘れたけれど、今や腕はそんじょそこらの女の子なんて目じゃない(と思う)。そんな私が14歳になって所属するのは料理部。部員は4人と少人数だか、生憎他の部員(3年が2人に2年が私で1年が1人だ)は恋と言う名の青春に燃えているらしく、一度も姿を見たことがない。顧問の先生は放任主義で、家庭科室と道具、たまに材料を貸してくれるだけである。


「…効果音はガラーン、ですね」


そう、何が言いたいか。放課後は必然的に一人である、と言う事だ。


「(まあ、格好いい人が好かれるのは自然の定理でしょう。…中身の話しは置いといて、)」


料理部の先輩や後輩が来ないのには理由がある。

私が通うこの立海大附属中では、大変に部活が盛んである。その理由としては学風だろう。文武両道を目標とする我が立海は【一にスポーツに二に学問】と言った所で、例え学力が些か残念な人でもスポーツ推薦があれば軽く入れる、言わば部活中心な学校なのだ。学校もそのための金なら幾らでも出す所存である。だが問題はそこでは無い。その中の部活動の1つにあるのだ。

彼らは殆どがスポーツ推薦(なんか外人っぽいのもいた気がする…)。それに加えてルックス良し(そして髪色や髪型は超次元)。しかも実力は全国一のお墨付(神の子とか悪魔とか技名とかの設定は厨ニだけど)。ついでにスポーツ推薦関係なしに頭良し(一部を除いて)。

イコール女子にモテモテ☆らしい…(友人談)

だからどうした!ではあるが、それがこうも言っていられない。今まで数多くの女子生徒が彼らと言う太陽に近付き、ことごとくファンクラブに羽を剥がれている。まさにイカロス。

まあ、私がこの学校を選んだのは進学率の高さだし、別にこの学校に固執する理由はない。だが関係無い奴らに近づいただけで退学なんて御免被る(数多の女子生徒と同じ道なんて嫌だ)。だから私は彼らに近付かない。

そう、彼ら
―――――テニス部に。





「さあ、そろそろ作りましょうか」


今日のお菓子は
『夏場にピッタリ☆簡単栄養ゼリー(野菜入り)』
である。
ちなみに料理名の後ろには【by.変わり者の友人】が付く。ここは結構重要だ。


「………まずは材料の確認からでーす」


棒読みなセリフを吐く私の頭の中に、某三分間料理番組のテーマソングが聞こえた気がした。





美味しいの作り方






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