黒子のバスケ

□未定
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椿は忙しい時もあれば、ゆっくりできる日もある。
今日は忙しいほうらしい。
黄瀬が目覚めると隣で寝ていた赤髪の彼はとっくにいなかったのが、ベッドの冷たさでよくわかる。
黄瀬に何も言わずに起きたのは忙しい証拠だ。
黄瀬は用意されている黒スーツに着替えると寝室から出て行った。
廊下に出ると洛山の人達が慌ただしく走りまわっていた。
黄瀬はその光景をぼーっと見ながらある場所へ向かった。
ある場所とは厨房だった。
今の時間だと黒子が厨房にいるからなにか聞けると思ったからだ。
中に入ると黄瀬の存在にすぐ気づいた彼はこちらのほうを振り向いた。

「あ、おはようございます、黄瀬君」

「おはよー黒子っち。今日はどうしたんスか?」

黄瀬は早速今起きている出来事について聞いてみた。

「ああ。どうやら侵入者が入ってきたみたいです。今赤司君が指示を出しています」

「そうだったんスか」

詳しく話を聞くと、今日の2:15分にこの屋敷に侵入。
そこからちょこまかと逃げまわって今に至るというらしい。

「何処の人なんスか?」

「まだわかっていませんが、うちの部下の1人がやられてそこから入ったみたいですから・・・」

「うちじゃないってことっスね。征十郎さんは?」

黄瀬は朝から姿を表さない赤司の居場所を聞いてみた。

「いつもの部屋にいますよ。ついでに“これ"もお願いします」

「了解っス!」

黒子から“これ"を受け取ると、黄瀬は赤司の居る部屋へ向かった。
部屋に入る前に2回ノックをしてから声をかけなければならない決まりがある。
これは敵か味方かを見分ける判断だと赤司に教わった。
しかし声をマネされればわからないのでは?と思った黄瀬だが、それは全く問題ないらしい。
なぜなら彼はノック音で判断ができるからだ。
黄瀬は2回ドアを叩いた。

「征十郎さん?」

「入っておいで」

1秒もたたないうちに赤司からの返事がかえってきたため、黄瀬はドアを開けた。
この中でも慌ただしく動き回っている者がいるが、ただ1人、赤司だけがゆっくり書類を見ていた。
書類と睨めっこしていると思ったらそうでもなく、こちらに向かって手招きをしている。
その仕草はこちらに来いということだろう。
そう判断した黄瀬は赤司の方へ足を進めた。
黄瀬が赤司の隣まで来て立ち止まると、赤司も書類を机の上に放り出すように投げた。

「おはよう涼太。体の調子はどうかな?」

「まあ今日は良いほうっスよ。でも、征十郎さんが居なかったから・・・」

しゅんっとしてしまった黄瀬に赤司は困ったような顔をすると、黄瀬の頭をゆっくり撫でた。

「すまない。今日は忙しいからな」

「ん。知ってるっス。あ、そういえば・・・」

黄瀬は何かを思い出したかのように胸ポケットからあるものを取り出した。

「これ、黒子っちから征十郎さんに渡してって・・・」

それを赤司に渡すと、彼はそれを軽く揺らしてみた。

「上出来だ。さて、これをいつ使うかか・・・」

「征十郎さん。それなんスか?」

黒子には何も聞かされておらず、黄瀬はそれがなんなのかを知らなかった。
赤司は手に持っているものの蓋を少し開けて黄瀬に近づけた。
黄瀬は匂いを嗅ごうと鼻を近づけたが、何かに気づいたのかばっと後ろに下がった。
その反応に満足したのか、赤司は開けている蓋をしっかり閉めた。
その行動を見た黄瀬はほっと一息つくと赤司の方へ近づいた。

「それ、睡眠薬と・・・何か?いろいろ入っているっスよね?」

「流石涼太、鼻がいいな。まあこれはテツヤが作ったオリジナルだ。効果はその目で見た方がわかりやすいだろう」

赤司はそう言うと、椅子から立ち上がり歩き出した。
それに続いて黄瀬も歩き出す。
赤司は先ほど黄瀬が歩いてきた道を戻っていく。
向かう先は厨房であった。

「あ、黄瀬君。丁度いいところに来ましたね」

厨房にいた黒子に呼ばれ何事かと思った黄瀬だが、黒子の持っているものを見て何をするのかがわかった。

「朝食まだでしたよね。今からこれを届けようと思っていたところでした」

黒子が手に持っていたのはサンドイッチのような手軽に食べられるものだった。
黒子に指摘されるまで全く気づかなかった黄瀬だが、それを見た途端お腹が空くのがわかった。

「ありがとっス」

黒子かた受け取ると黄瀬は迷うことなくそれを口に頬張った。

「いえ。歩きながらでもどうぞ。あ、赤司君。それ、どうですか?」

黒子は赤司に向き直ると黄瀬を見ていた赤司は目線を黒子に向けた。

「ああ。使わせてもらうよ」

「どうぞ」

黒子がそういうと赤司は厨房を後にした。
黄瀬も黒子にもう一度お礼をすると、赤司の背中を追いかけていった。
少し歩いていると、目の前のドアが吹っ飛んだ。
二人がポカンとしていると中から声が聞こえた。

「おい、いつまで待たせんだよ!!」

「峰ちん、落ち着けば?」

どうやら赤司が来るのが遅いため、青峰がキレてドアを蹴ったということらしい。
赤司は何事もなく中に入っていく。

「やあ、大輝、敦。待たせたね。そして大輝、お前は後でドアを直せ」

続きはもうしばらくおまちください

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