テニスの王子様

□笑顔の表し方
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たまには俺が大阪に行くけど・・・

大阪に慣れることはない。

なぜかというと、自分と大阪でのテンションが違うからだ。


「おばちゃん、たこ焼き二つ!」

「はいよ」


この二人だって俺とは違う。

だから、俺と遠山も違う。


「おまちどうさま」

「おおきに!」


遠山は今買ってきたたこ焼きを持って、俺のほうに来た。


「コシマエ、はいたこ焼きや!」


俺はたこ焼きを受け取ると、遠山が隣に座った。

たこ焼きは出来立てなのであたたかい。

俺はたこ焼きを食べた。

大阪のたこ焼きは東京とは違っているからおいしい。


「遠山」

「ん?」


俺が遠山を呼ぶと、遠山は口にたこ焼きを頬張っていた。

たこ焼きはもう残り二つになっていた。


「たこ焼き、そんなに食べて飽きないの?」


俺の問いかけに遠山はきょとんとしている。


「あきへんで?コシマエは飽きるんか?」


大阪に来るといつもたこ焼きを食べる。

だから飽きたのだと思ったのだろう。

遠山の顔が悲しそうにしている。

俺は遠山の頭をなでながら答えた。


「別に。ただ遠山は毎日食べて、飽きないのかなあって思っただけ。俺は飽きてないから」


俺がそう言うと、遠山は嬉しそうに笑っていた。


「俺もそんな笑い方、出来ればいいのに・・・」

「・・・簡単やで?」


うっかり口に出してしまった!!

俺があせっていると、遠山は俺のほうを見た。

その表情はとてもやさしい笑い方だった。


「コシマエにも出来るで?」

「どうやって?」

「楽しいこと無いん?」

「楽しいこと?」


楽しいこと・・・

俺が悩んでいると、遠山は例題を出してくれた。

遠山にしてはやるな。


「ならコシマエはテニスをしとる時、楽しいと思うんか?」

「うん」


俺が答えると遠山は、俺の髪をなでてきた。


「じゃあコシマエは、テニスをしとる時にその表情がだせるんや!」

「じゃあさ、俺が遠山とテニスしているとどうなの?」

「ん?せやなぁ・・・今からやるか?」


遠山とのテニスか・・・

まぁ暇つぶしでいっか。


「いいよ」

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