黒執事
□ご褒美
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10月31日今日はハロウィンだ。
使用人たちがそわそわしているのがわかる。
セバスチャンはシエルを起こすため、アーリーモーニングティーを持って主人が寝ている部屋に向かった。
「坊ちゃん、お目覚めの時間ですよ」
「んっ・・・」
「おはようございます。今日はハロウィンですよ」
セバスチャンはシエルに紅茶を渡しながら話しかけた。
シエルはその紅茶を飲むとセバスチャンに話しかけた。
「ハロウィンか・・・」
「使用人たちが浮かれていましたよ?」
「そうか。・・・なら、晩餐にでもパーティーでもするか」
「御意。それでは晩餐の後のデザートを楽しみにしていてください」
セバスチャンはシエルの着替えをさっさと済ませて今日の予定を伝え出て行った。
シエルは朝食をとるため部屋を出て行った。
そのころのセバスチャンはと言うと・・・
セバスチャンはスイーツについて悩んでいた。
(さて、どんなスイーツにしましょうか。)
(坊ちゃんは好き嫌いが多いですし・・・たまにはデザートを二つにしてもいいでしょう)
セバスチャンは報告をするためシエルのもとに向かった。
「坊ちゃん、本日は仕事をしっかりこなしたらデザートを二つ出しますよ」
朝食を終えたシエルに向かって話しかけた。
シエルは目をきらきらさせ、セバスチャンのほうを向いた。
「本当か」
「ええ。本日は特別ですよ。ですから、しっかりと仕事を片付けてくださいね」
「わかった」
そういうとシエルは部屋を出て行った。
セバスチャンも、食器を片付けに向かった。
******
シエルはデザートを二個にしてもらうため仕事を片付けていた。
そのときにふと思いついた。
(秋の商品でも考えてみるか・・・だが、考える時間がないな。なぜ今日はこんなに仕事があるんだ)
今日はいつもと比べて書類が多い。
幸いのこと、今日は勉強がないためよかったもののもしも、勉強があったら書類のチェックをする暇もないだろう。
今日は一日中書類とにらめっこしているのだろう。
ぶつぶつと考え事をしていたらセバスチャンがドアをノックしてきた。
「入れ」
「失礼します、おや?今日は早いですね。そのまま進めばアフタヌーンティーまでには終わりそうですね」
セバスチャンは書類をチェックしながら答えた。
「ああ。今日のアフタヌーンティーはなんだ」
「晩餐のときにハロウィン系のスイーツを出しますので、本日はガトーショコラです。紅茶はニルギリをご用意します」
「そうか」
「そういえば、坊ちゃん。今日はお菓子を持っていたほうがいいですよ」
シエルは手を止めて何故だと答えた。
「使用人たちがいろいろと騒いでいたので・・・」
「そうか。ファントム社の商品でいいか?」
「いいでしょう。あの方たちはお菓子をもらいたいのでしょう」
「お菓子をもらって何がいいのか・・・」
シエルはあきれてしまいため息を漏らした。
「それでは私は準備をしてきます」