黒執事

□寒さをなくすには
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寒い・・・

「坊ちゃん、お目覚めの時間ですよ」

「ん・・・」

寒い・・・
いつもより寒い・・・

「嗚呼、そういえば今日は雪が降っていますよ」

ああ、だから寒いのか
寒いのはあまり好きじゃない
いやなことお思い出させる

「坊ちゃん?どうかされましたか?」

「いや・・・なんでもない」

「・・・そうですか。今日はいつもより寒くなりますね。今は寒くありませんか?」

寒い・・・
これは何の『寒い』?
ただの雪?それとも・・・

「坊ちゃん!今日は体調がよくないのですか?先ほどから考え事が多いのですが・・・」

「・・・ああ、ちょっとな」

「そうですか。今日は仕事をキャンセルします。ですのでゆっくりお休みください」

「分かった」

セバスチャンは分かるのか?
この寒さの意味を・・・

「火を強くしておきます。では、朝食をお持ちします」

火が強くなった。
少し暖かくなった。
でも、まだ『寒い』
何の寒さだ?
外は雪が降っている。
今日は雪が積もるかもしれんな

「坊ちゃん、朝食をお持ちしました」

「ん」

「・・・坊ちゃん、今日は元気がありませんね。雪だからですか?」

それもあるかもしれない
でも、違う

「わからん」

「では、雪は昔のことを思い出すからですか?」

「昔?あれか・・・」

そんなもので寒いのか?
僕は昔を思い出すから寒いのか?

「わからん。だが、寒い。暖炉の火を強めても、寒いんだ」

「そうですか。それはココロの問題ですね」

「ココロ?」

「そう、ココロ。何か悲しいことでも思い出したのでしょう。
あなたも人間なのですから、そんなこともあるでしょう」

ココロ・・・
それが僕が寒かった理由・・・

「どうすれば直るんだ」

「簡単なことですよ」

そういうと、セバスチャンはベッドに入ってきた。
そして、僕を抱きしめた。

「何がしたいんだ」

「こうすれば直ると思いまして」

・・・直るのか? そんなことで
だが、寒さは徐々になくなっている

「悪魔の癖に・・・」

「そうですね」

まあ、寒さがなくなっただけよしとしよう

=END=

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