短編集

□白いもの
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「昌浩」


紅蓮が俺を呼んできた。

紅蓮は何か言いたげそうだった・・・

とりあえず俺は返事をした。


「なに?」


いつもしているように・・・

やはり紅蓮は何かいいたそうだ。

何が言いたいのだろう?


「紅蓮、さっきから何そわそわしてるの?」


俺が問うと紅蓮は肩を少し震わせた。

そんなに深刻なことなのかな?

あ、口を開きだした!


「ま、昌浩。お、お前に言いたいことがあるんだ」


やっという気になった!

でも、いいたいことって何だろう?

特にないと思うんだけど・・・

俺のこと意外はね。


「なに?」

「お前は何も言わないが・・・」

「うん」

「お前が何も言わないから・・・」

「うん」

「・・・・・・・・・」


????

どうした

そんなに深刻なことなのか!

そんなにいいにくいことなのか!


「白いほうになる必要はあるか?」

「えっ!!!?」


ビックリした

まさか、ここでその話が出るとは思っていなかった。


「昌浩?」

「あ、ごめん!ちょっとビックリしちゃってて・・・物の怪のもっくんの話だったよね」

「物の怪言うな!」

「そうそう、物の怪のもっくん」

「だからちがう!」


もっくんかー

そういえば神将になってから見てないなー
久しぶりに見たいな。


「じゃあなってよ」

「はぁ!?」

「え?そのために聞いたんじゃないの?」

「いや・・・もうならなくていいかと思って・・・」

「でも俺は見たいよ。久しぶりにもっくんが。マフラーにもしたいし」

「ちょっと待て。最後のはイヤだぞ」


やっぱり?

そう思ったんだよね。

紅蓮のことだから・・・


「なってくれるよね?」


さあ、どうする。


「わかった」


勝ったーーーーーー!!


「これでいいだろう」


紅蓮がもっくんになってくれたー


「やっぱりもっくんもいいよねー。可愛いよ」


うんうん。毛もきれいだね。


「昌浩、お前は何をしている」

「何って言っても・・・マフラーにしているけど?」

「イヤだといっただろ!!」


やっぱり?

でもね、もっくんの毛が気持ちいいんだよ。

本当に久しぶりに見るなー


「ごめんごめん。久しぶりにやりたかったんだよ」

「まったく!」


俺はもっくんを見て思った。

この瞳は本当にきれいだなぁと。


「もっくん」

「・・・なんだ」


不機嫌になっちゃった

ま、いっか


「これからも傍にいてね。あの頃のように・・・ずっと・・・」

「ああ・・・」


俺は死んでしまった。

だけど、もっくんは、紅蓮は傍にいてくれる・・・

紅蓮がいてくれる、それだけで俺は幸せだよ


だから、

これからもあの頃のように傍にいて、怒ったり、笑ったりしてね・・・

=END=

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