Short BOOK1-NARUTO-

□『君の幸いがすべて』
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『君の幸いがすべて』










オレは感情の一部が欠落しているらしい。


生まれて数時間で両親をどちらも亡くしているからか、その時より命を狙われ続けているからか。

何にしろ自分は周りに対して執着が極端に薄いのだ。


自我の発達が著しかったオレはかなり子どもらしくなく、暇つぶしと称してオレを引き取ってくれていた三代目の爺様が持つ書物を片っ端からひっくり返し、自分に与えられた部屋で行える術は試しまくった。

体が多少成長して外出が認められるようになると、里中を探検してまわり、誰にも邪魔されない深い森と断崖絶壁の谷を見つけて嬉々として大掛かりな術(実は禁術を大量に含む)を試した。

爺様所有のものをすべてやりつくしたオレは、それから既存の術のアレンジや新術の開発にのめり込んだ。



そしてその一方で、いろいろな場所で見聞きするうち、自分に求められている姿をつくり、虚像をつくった。

自分の出生はすでに知っていたし、内にいる九尾の存在も感覚で感じ取っていたが、コントロールも造作もないことだったので気にしてはいなかった。


すべてを知ったときの感想は、そうか、という程度。

里人がそう望んでいるのなら、力のない無力な器でいてやろうか、と。

人生については何の感慨もなく、ただ膨大なチャクラ(九尾の分を除いても)と体を思いっきり使って術を行使するのは好きだった。





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