Short BOOK1-NARUTO-
□『会えないなんて考えられない』
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「今日は珍しく早く終わったわね」
「明日は雨が降るかもな・・・」
「雨よりヤリが降るってばよ!なぁなぁ、それよりせっかく早く終わったんだし、今から一楽行こうってば!!」
本日の任務完了後、解散した下忍7班は、たそがれながら街中を歩いていた。
いや、3人のうち金髪の少年だけは元気に騒いでいる。
「なー、サクラちゃんってばー」
「うるさいわよ、ナルト。久しぶりの半日休みの気分が台無しだわ。ねー、サスケくん」
「・・・・・・」
「ひ、ひどいってばよ、サクラちゃん・・・」
落ち込んだようにがっくりと肩を落とす金の子どもに、その時声がかかった。
「おい、ナルトじゃねぇか。珍しいな、お前ら7班がこんな時間にここにいるなんてよ」
「今日そっちは休みなの?」
3人と同じ年頃の少年2人で、のんびりと歩いてくる。
「おう!シカマルのチョウジ!!よくぞ聞いてくれましたってばよ!なんと、今日はカカシ先生が1時間しか遅刻して来なかったんだってば!!」
嬉々として喋るナルトに、シカマルと呼ばれた黒髪の少年が脱力する。
「おいおい、1時間しかって、お前ぁ・・・」
「7班は相変わらずみたいだね」
「そういうあんたたちはどうしたのよ、いのがいないじゃない。任務は?」
「あー・・・・・・」
シカマルが顔を顰めて頭をかいた。
その隣でチョウジが常のようにお菓子を食べている。
「今日は任務がないから1日休みなんだ。いのは家で謹慎中なんだって」
「「「きんしん中・・・?」」」
「めんどくせーが、簡単に説明すると、イノイチのおっちゃんに隠し事がバレて、怒らしちまったらしい」
「それで謹慎中ってことなの?ちょっと厳しすぎない?」
サクラが眉をしかめ、少し心配そうな顔をする。
いくらライバルといっても、やはり友人は友人だ。
シカマルが苦虫を噛み潰したような顔になる横で、チョウジがけろりとして言った。
「イノイチさんは、いのをとても可愛がってるからね。その可愛い娘に、実は内緒の彼氏がいました、なんて気付いたら、そりゃあ気に入らないと思うよ」
「え!?うそ!?いのに彼氏!?」
サクラが絶叫し、ナルトが唖然として、サスケも少しばかり目を見開いていた。
サクラは暢気なチョウジから聞き出すのを早々に諦め、事情を端的に説明できそうだと一瞬で判断したシカマルに詰め寄る。
「どういうこと!?いのに彼氏がいるなんて聞いてないわ!だっていのはサスケくんが・・・ってまさかサスケくん!?」
混乱したように喚くサクラに、サスケは溜め息を吐いた。
「オレじゃねぇ」
「よ、よかった・・・って、それじゃ誰なのよ!?サスケくんが好きだって言ってたのは、アレはウソ!?」
「お、おれが知るかよ・・・」
サクラに首を締め上げられているシカマルが、苦しげに呻く。
「おれとチョウジもおっちゃんに聞かれたが、生憎幼馴染のおれ等でも知らねーし。・・・あいつは完全に口を開くつもりはないらしい。めんどくせーことにな」
サクラが一応納得して手を離し、解放されたシカマルはごほごほと咽た。
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