陰陽師
□反撃
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俺は晴明の邸にいた。
宿直明けで、自分の邸には帰らずに、そのまま晴明の邸を訪れた。
一刻ほど濡れ縁で盃を傾け、その間にいろいろあり、今は晴明と寝所にいる。
「晴明…。」
「博ま…ぁんっ、く…」
俺は晴明と向かい合って座っている。
晴明が名前を呼び終える前に、彼の真紅の口唇に、自分のを重ねた。
角度を変えながら彼の口内を探ると、晴明はもどかしい様子で、自ら舌を絡めてきた。
「んっ……っ、」
晴明は鼻から抜けるような声で小さく喘いだ。
俺が、彼の絡められた舌を強く吸うと、晴明は俺の背に回した手に力を込める。
さすがに俺も息苦しくなったので、ゆっくり彼の口唇から離れると、晴明の張りのある口唇と、俺の口唇が、銀糸で結ばれた。
晴明の口からは、彼のか俺のかわからない唾液を溢れていた。
「…博雅……、もっと…。」
晴明は、潤んだ瞳で口付けを強請ってきた。
俺は、晴明に見つめられることにとても弱い。
彼の瞳は、漆黒だ。それに、しっかりとした二重で切れ長で、睫毛も長い。
おそらく晴明は、俺がこの事に弱いことを知っている。
だから、少し悔しい気もするが、俺は再び晴明の口唇を塞いだ。
クチュ、クチュッ…
次は、わざと音をたてながら口付けをしてみた。
「んんっ!」
晴明は、聴覚からも感じてしまったらしく、さらに手に力を込め、身体をよじった。