novel

□incomplete
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「お〜!!
ここが部室か。
畳とかあるし結構いいじゃん!」


佑助はカバンを机にドサっと置き、畳の上に腰を下ろした。


「せやなぁ。
意外と広いし明るいな!
ホコリっぽいからとりあえず窓開けるで〜」


一愛がそう言って窓を全開にすると
心地よい風が室内に入り込んできた。


「気持ちええな。。」




佑助に、一緒に部活をやろうと誘われた翌週の月曜日――


佑助は早速学校側に部活動の申請をして認可をもらい、
スケット団を立ち上げた。


そして、
宣言通りクラスの皆に一愛が鬼姫であることを広めたのだ。


周囲のリアクションは予想していた通り。


戸惑って近づこうとしなかったり、
遠くから噂話をしたり。


一愛に自分から話しかけようとする者は誰も居なかった。


だが、佑助と千秋だけは今まで通りの態度で接してくる。


一愛はそれだけでも十分だと思った。
もう一人ぼっちではないのだから。


その日の放課後、
教室の少し離れた所から佑助が一愛を呼んだ。


「おーい!
今日から部室使っていいってよ。
ちょっと行ってみようぜ!」


「そうなん?
行く行く!」


佑助の呼びかけに一愛も大きな声で答えると、
クラスメイト達は意外そうな顔でそれを見る。


好奇に似た視線を多方面から感じつつも、
二人は教室を後にした。


部室に着き、室内を一通りチェックすると
すぐに掃除に取りかかることにした。


「アンタそっちの棚拭いてな!
雑巾ここにあるからちゃんと絞るんやで!」


テキパキと片付けをこなしていく一愛。


そんな姿が意外だったのか、
佑助はポカンと一愛の様子を見ている。


「アンタ何サボってんの?!
ちゃっちゃとやらんと日が暮れてまうで。
もしかして雑巾一人で絞られへんのか??」


「し、絞れるっつーの!
なんかお前母ちゃんみてぇだな」


「誰が母ちゃんや!
ピチピチの女子高生やっちゅうねん!」


そんなやりとりをしているうちに掃除は終わり、
ホコリっぽかった部室も見違えるように綺麗になった。


「ふぅ・・こんなもんか。
スッキリしたわ〜」


「お〜すげぇピカピカになったな!
お疲れ!」


佑助はニカっと笑いこっちを見た。


その笑顔に一愛は少しだけ胸が高鳴った気がしたが
すぐにそれを打ち消すように「お疲れ」とだけ返した。
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