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□002 届かない
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デュオは作業中のデスクに座ったままクッキーへ手を伸ばす。が、ギリギリ届かない。
「あともうちょっと・・・」
ジタバタと揺れる指先は、言葉通りもう少しの所で届かない。
「何をしている」
「何ってヒィさん、見ての通りだ」
何故立ち上がって取らないのだろうか?
座ったまま手を伸ばし苦労して食べるのと、立ち上がり楽に取って食べる事とに、何か差があるというのか?
悩むより試す人・ヒイロ=ユイ。
早速ヒイロはついと立ち上がり、そのままクッキーをひとつ口に含んでみた。
「違差は感じられない」
「はい?」
デュオの頭上におっきなクエッションマークが現れ、素直に疑問を口にしようとした瞬間、有無も言わせぬ手つきでクッキーが詰め込まれる。
「ならばこれでも問題無いだろう」
「もひゅあひょひゃへ・・・」
クッキーを大量に咥え込んだまま喋るなど、いかに自他共に認める器用人間デュオといえども不可能だ。
「まず食べてから話せ。俺ならいくらでも待ってやる」