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□044 天使と死神
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相棒のコックピットは、ちょっとした棺桶に思える事がある。死神に棺桶...似合いじゃないか。
滑り込むとパネルにぼんやりと辺りに光が舞った。

デスサイズのコックピットを棺桶と呼ぶなら、ウイングガンダムのコックピットは何と呼んでやろう ?
ヒイロの駆るあの機体には...

「ゆりかご、かな」
生まれついての戦士・ヒイロのコックピット。

「いくぞ」
いきなり開かれた回線から聞こえてきたのは、ヒイロらしい必要最低限の言葉。
「へいへい。お互い死なない程度に頑張ろうぜ」

天使のゆりかごに抱かれたヒイロの白い機体と、死神の棺桶に収まるデュオの黒い機体は、平和の産声を求め果て無き闇へと向かい飛び立つ。

「死にそうになったら呼べ」
最後にそう一言命令すると天使は一方的に回線を閉ざし、明後日の方向へもう見えなくなっていった。

「じゃ、お前が死にそうな時はどうしろってんだ?」
見ても戦場はコックピットに舞うパネルの乱舞のようで、天使もその光の点に同化してもう判別など付かなくなっている。
「ったく、あいかわらずマイペースな奴」


俺が死んじまったら お前のゆりかごで産み直してくれ

お前が死んじまったら 一緒にこの棺桶で眠るのもいいか。

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