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□夏まつり
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その日はとても暑い一日だったので、早めにフロにしたヒイロは髪を乾かしながらまずズボンをはいて、一日の締めくくりとしてとりあえず続けている日記でもとイスに座った瞬間
「ヒーロー!!夏まつり行こーぜー!」
バタンと元気良くドアを開け、勝手知ったるなんとやらと入って来たのはデュオである。

「...」

それはいいのだが
「どうかした?ヒイロ」
デュオは浴衣姿(しかもピンク)に、髪もかわいらしくポニーテール。
いつもの三つ編みをほどいて、バカバカしいまでの長さを誇るそのシッポで、かわいい帯のリボンが隠れてしまうのが残念...じゃなくって、問題なのはデュオは男の子という事。
「あっ、もしかして驚いた?」
そりゃそうだ。

「まつりには浴衣だってヒイロ言ってたろ。
だから買って来たんだ。
予定外の出費だから、しばらく倹約しなきゃなんないんだけどさ」

「ふつう...」
今のはヒイロ。
「ふつう?」
今のがデュオ。

「野郎は来て来ない」
「ゲッ!それじゃ俺、ヘンな訳?」

「いや...」
「いや?」
「似合って...いる」
デュオ、その言葉に心底ホッとして、袖を広げてみせる。
「そうなんだ。
やっぱり店の人が選んでくれた通りにして良かったぜ」
店員が?デュオに?
って顔のヒイロ。
まずはデュオの説明を黙って聞く事にする。

「最初さ、相棒とお揃いの色を選んだんだよな。
そしたら店員が、それは似合わないって。
それでも諦めがつかなくて
『ピンクよりは似合うだろう?』
って聞いたら、ピンクの方がいいって」

つまりデュオは、夏まつりに浴衣ではなく『喪服』を着て行こうとしていたらしい。
それはデュオでなくても、似合うはずがない。

「ところで、行くの?行かないの?」
「...行こう...」
制服を羽織りながらヒイロが答える。

こんな格好のオッチョコチョイを、一人で行かせる訳にもいかず...
何より『似合っている』と言ってしまった自分自身が不思議で...
もう少し、コイツにつき合って分析してみようと思うヒイロであった。

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