恨み辛みの果て

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「まあ、あれですよ。いちいち名前聞くのもめんどくさいし、なんかみんなして泣くし」
「…それだけみんなに頼りにされていたんだよ、お前は。名前だけでも覚えていれば、みんな喜ぶさ」
「それは良かった」



善は急げ、ということで、俺は土井先生と共に忍術学園を徘徊…げふんげふんっ…失礼。忍術学園を案内されつつ、忍たま達の名前を教えてもらった。もちろん内密です。

ちょうど六年生が食堂にいたので、屋根裏からこっそり。わお、美形揃いだね。

六年い組、立花仙蔵と潮江文次郎。
六年ろ組、中在家長次と七松小平太。
六年は組、食満留三郎と善法寺伊作。

さすが室町、名前が半端なく古い上にかっこいい。ちなみに、食満を漢字で書くとこうだが、俺はどう考えてもしょくまんとしか読めないと思う。いや、けまって読むらしいんですよ。室町にも当て字なるものがあるんですかね。え?当て字じゃない?当て字?どっちだよ。



「次は演習場だ。あそこは今、四年生が使っているはずだ」



またもや屋根裏を通っていく訳だが、何せ俺はもともと一般ピープルなのだ。音をたてずに、なんて難しい。さっきだって、実は何度もばれかかった。

慎重に進めば行けなくもないが、ペースはその分遅くなる。やっと演習場に着いた頃には、四年生は帰っちゃってました。ちゃんちゃん☆

仕方がないので、土井先生は俺を屋根裏に残し(なぜ屋根裏…)乱太郎という子の部屋から絵を拝借してきた。…うん、この子は忍者より画家のほうがあってると思うよ。



「この気取ってる風なのが、四年い組の平滝夜叉丸。やる気なさげな穴堀小僧も、同じく四年い組の綾部喜八郎だ」
「はあ、確かに穴掘ってる絵ですね」

「いつもユリコ…石火矢を連れて歩いているのが、四年ろ組の田村三木ヱ門で、六年生と同い年だが編入生のため四年生になったカリスマ髪結師の息子の四年は組の斎藤タカ丸だ。彼は髪が金髪だから、一目でわかる」
「これだけ生徒がいて、キャラかぶんないんですか」



で、忘れてはいけない。今頃部屋でぐっすりであろう、あの藍色の一塊…って言っちゃいけないね。藍色の制服を着た五年生諸君の名前もばっちり聞きましたよ。やっぱりキャラは被ってなかった。



「あとは下級生だが、特に一年生は人数が多いからな」
「了解でーす」



俺は、このあと後悔することになる。
…だって、一年生があんなに多いなんて聞いてない…!
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