恨み辛みの果て

□02
1ページ/5ページ

雅が死んだ。

ある日の朝、遺体で発見された。
骨が折れ、肌は所々紫色に変色し、ボロボロだった。


誰もが嘆き悲しんだ。

雅は、誰からも好かれていたから。面倒見がよくて、曲がったことが嫌いで、女のくせに口は悪かったが、その言葉一つ一つには大きな意味があった。

誰もが雅と共にあることを望んでいた。

そんな日常を崩したのは、ヘイセイからきた“天女”だ。

上級生のほとんどが天女の虜になり、委員会が機能しなくなり、学園は崩壊していった。

そんな学園を立て直そうと、一人立ち向かったのが、雅だった。

だが、複数の上級生相手に、一人で敵うはずがない。

全ての委員会の手伝いをこなし続けた雅は、衰弱していた。

そんな彼女を手にかけたのは、やはり上級生だった。

殺すつもりはなかったのだろう。

その証拠に、新野先生から下された診断は“衰弱死”だったのだから。



嗚呼、神様。

あなたはなんて残酷なんだ。

なぜあの子なんだ。なぜあの子じゃなきゃいけなかったんだ。

誰からも愛される雅が、誰からも恨まれ、挙げ句死んでしまうなんて。

私は、あなたを恨みます。

ああそうだ。

あなたが送り込んだ天女様は、無事天に還させて頂きました。



もう、あんな異物を送ってこないで下さいね。

次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ