恨み辛みの果て

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――――――…



「お前の私物は、全てそのままにしてあるんだ」
「…そうっすか
(俺のっていうよりこの時代の“雅”だけどな)」
「竹谷たち、きっと喜ぶぞ」



長い廊下を進んで、やっとこさ長屋(たぶん)に着いた。

長屋の一室の表の柱には、“竹谷・佐武”と掲げてある。……本当に(この時代の)俺の部屋なんだなぁ。



「竹谷、入るぞ」

「……土井先生…」



ぅおっすげー隈!
なんだこいつ大丈夫か!?目イッちゃってるよ!!

俺、これからこいつと同室なのか…
気が重くなるな…



「なんスか…」
「今日もすごい隈だな…また危険な任務に手を出したのか?」
「…」



き、危険な任務…
年齢的に、俺と大差ないような子供が、任務なんて…

恐るべし室町。

充実してるなんて思った自分バカ!



「…? 土井先生、後ろの誰ですか?」



さっそく来た!
えええどうしたらいいのコレ自己紹介かそれでいいのか!?



「竹谷、今日からお前と相部屋になる子だ。」
「相部屋…?」
「ああ。…雅、いつまで百面相してるんだ」

「え、は…っ…雅…?」


おおぅ、目イッちゃってる男と目があっちゃった。

ってえええなんか近づいてくる目力強い怖い!なになになになに!?


ムギュッ



「三郎か?お前いい加減にしろよ。冗談じゃすまさねーぞ」
「いららららららっっいらいっいらいれふー!」
「落ち着け、竹谷。この子は正真正銘、佐武雅だよ。ほら、頬が伸びきる前に放してやれ」



うっううっ

一体なんなんだ。頬痛いぞこのやろー絶対赤くなってんだろコレ。
ジンジンするし、ちょっと熱持ってるし、奴はなんか泣いてるし



……………ん?

泣いてる…?



「う、そだ…そんなっ…だって雅はっ…雅は…っ!」

「竹谷、雅は戻ってきたんだ。この学園のために、そして…あの子のために」



あのぅ、話がまったく見えねーんですこども…

もしもーし!



「何も覚えていないが、きっと学園を変えてくれる」



え、なんか話の規模がでかく…

俺そんなことできません!変える前に帰りたいです!


なんて俺が心の中で叫んでいるとは露知らず、二人は感動的シーンを繰り広げている。

そんな二人に伝えたい。



俺の話を聞いて…!
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