恨み辛みの果て

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「先輩、戻ってきてくれたんですね!」
「先輩、先輩、大好きです」
「先輩がいなくて寂しかった…」
「先輩」
「ねぇ先輩」



おおう…
俺は今、平成では味わえなかった幸福と驚愕を味わっている。

どういう事かって?
下級生(制服の色からして三年生だ)に、べったべたに甘えられてるんだ。こんなかわいい奴らをひっぺがせる人間がいるだろうか。いやいない。

だが、離れてもらわんと仕事ができん。



「(確か名前は…)藤内、数馬、左門、三之助。仕事が終わったら構ってやるから、少し離れ…うっ」



うぐぐ…
なんて卑怯な…いや、かわいい手を使ってくれる。さすが忍たま…!

俺が、その目キラキラ上目遣いに弱いことを利用するなんて!!



「せ、先輩は、僕達のこと嫌いですか…?」
「やっぱ、記憶がないから警戒しているんでしょう。でも、俺達は先輩を傷付けません!」
「先輩!ぼくたちを信じて下さい!!」
「先輩…」



ぐはぁっ

ま、負けた、ぜ…



「よしっ全員来い!」
「「「「!」」」」



ガバッと両手を広げ、4人まとめてわちゃわちゃしといた。

だってかわいいんだもんコイツら!!

…でも、少し気になったことが1つ。



「…作兵衛と孫兵は?」



そう、三年生といえば、土井先生にこの4人を含めた6人を紹介された。6人まとめて来るかと思ったんだが、2人はいない。



「…作兵衛と孫兵は、先輩を先輩だと認めないんです!」
「マジでか…」
「それどころか、孫兵なんて先輩を天女様だ!なんて言ったんだぞ!」
「天女?」
「先輩が天女なはずない!もし、仮に、先輩が天女なら、今頃男に媚を売ってるよ。」
「性格の悪い天女だな…」



それにしても、まるでそういう天女が現れたかのような口振り…



天女ごときのために…



っぅおう…
またフラッシュバックが…

まさか、記憶の中の“天女”と関係ある、とか?



「その天女の話、もう少し詳しく教えてくれないか?」
「え…?」
「で、でも…どうしよう、藤内…」
「…先輩が知りたいなら、俺は話す。あいつのことを口に出すなんて、気持ち悪いけど…」
「酷い奴だったんです!下級生をずっと貶してた!!」



熱が入りかけた左門を制し、藤内は話始めた。



――――――…
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