恨み辛みの果て

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気をつけろと言われてから、早1週間。これといって、危険なことは起こっていない。

なんだったんだ、あのフラグ的なものは。



「まあ、痛いの嫌いだし…平和が一番なんだけどさ」
「姉ちゃん、さっきから何1人でぶつぶつ言ってんの?」
「お?あー、うん。薪割り代わってもらっちゃって悪いね、と思って」
「何言ってんだよ!姉ちゃん、手の皮向けちゃったんだから、無理すんなよ!」



な、なんたる姉弟愛…
お姉ちゃん感動して涙が出ちゃいます。

あ、読者の皆様にご説明いたします。

なぜ俺の仕事である薪割りを弟がやっているのか。それは、30分前のこと。

いつも通り薪割りをしてたのですが、平成生まれ平成育ちの柔な俺の身体は、斧の柄と相性が悪かったようで。マメを潰された仕返しに、赤い液体をぐっしょりと柄につけてしまいました。

そこで問題になるのは、手が痛すぎて斧が持てないんです!

そこに現れた救世主!我が愛しの弟が、俺の代わりに薪割りをしてくださっているのです。

ただ、もう1つ問題があって…



「柄に赤い手形がついた斧をどうするか…知らずに使ったら手形つきなんて、なんのドッキリだよ」
「大丈夫!どうせ予備の斧あるし!」



そういう問題じゃないんだけどなぁ…

弁償させられたらどうしましょ。斧っていくら?



「ふぅ、できた!」
「おおっ早い!さすが虎若」
「えへへ…」



ああちくしょう。
可愛いよ子ども超かわいい。お持ち帰りすんぞコラ。
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