恨み辛みの果て
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「あ、あの…?」
「天女様、あなたは本当に、天女なのですか」
自然と、手に力が入った。
華奢な肩を掴み、木に押し付ける。小さくて愛らしい姿の天女様。否、私がかつて愛した者の姿をした何かが、困惑の色を浮かべた目で見上げてくる。
「俺は天女なんかじゃありません。ただの平々凡々なか弱い乙女ですよ。だから放してください。は、放してくれると嬉しいですごめんなさい」
よく回る舌だ。
本当にこいつが雅であるかは、反応でわかる。私がした質問は、ただの愚問である。
天女様の顎を掴み、位置を固定した。そして、一気に距離を縮め…………
「チェストォォオオ!!!!!!」
ゴッ!!
「ぐふおっ!?」
よ、予想外だ…
まさか、私の“下”を狙ってくるとは…
結局狙いは外れて太ももだったが、もう少しで使い物にならなくなるところだ…
痛む足を抑え見やると、彼奴は全速力で走り逃げ………
ズボッ!!
落ちた。
――――――…
「いっ…てて…あっ」
はっとして上を見た。
空が、丸く切り取られたように広がっている。落ちたんだ、穴に。しかも結構深い。
「ふんっひっかかったな」
その声と同時に、影がかかる。
あれは、もんじ先輩だ。この前、俺の正体を暴くだなんだと喚いていた。
「ちょ、出してください!」
「ならば、本性を表せ!何が目的で来たんだ。どうしてその姿なのかもな!」
「何なんですかそれ!俺に正体も本性もありませんよ!」
狭いし暗い、穴の中は不安になる。一筋の光さえ、遮られてしまったのだから。
「何も言う気はないのならば、そこにいろ」
「っ!」
誰か――