恨み辛みの果て
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「とめせんぱぁぁあああいぃぃいッッ!!!!!」
「ぅおっ!!雅!?」
ドスッ
アメフト部もびっくりなタックルをとめ先輩にかました。見事に受け止められたが。なにこの人すごい。
って、それは置いといて!
「はにゃあ、雅先輩どうしたんですかぁ!?」
「…す、すごい息切れてますよぉ…」
「誰かにお菓子取られちゃったんですか?」
可愛い3人の頭を撫で、とめ先輩に向き直った。後からでできた作兵衛を視界の端に捉えながら、息を整える。でもむりやり息を吸ったからか、おもいっきり咳き込んだ。
「だ、大丈夫か!?」
「大丈夫じゃありません!!」
「大丈夫そうに見えるが」
「ああああ大丈夫じゃないのは俺じゃなくて俺は大丈夫なんですけどもんじ先輩が大丈夫じゃなくてバーン!!!!」
「!?」
あれ、あれ何でしたっけ忍者クオリティーの嗅覚でわかるバーンってやつ!えっと、ほら、さっきの…
「バ、バーン…?」
「ととととにかく大変なんです撃たれたんです撃たれそうになったんです!」
「撃つ……火縄銃か!」
「それだぁ!」
「で、誰が撃たれたって!?」
「撃たれたんじゃなくて撃たれたそうになったんです!いや実際に撃たれたんですけど俺に向かって」
「撃たれたのかよ!」
「はい!もんじ先輩のおかげで直撃は免れたけどちょっとかすりました!」
「えぇえええ」
俺の左足、ふくらはぎのあたりはさっきの銃撃のせいで破けていた。そこからはうっすらと血が滲んでいる。もんじ先輩がいなかったら、俺は左足に風穴が開いていただろう。
「曲者が侵入しやがったのか…クソッ…作兵衛、お前は雅を医務室に連れていけ!」
「はい!行きましょう、雅先輩」
「う、うん。ああでも待って。とめ先輩、」
「なんだ?」
「あの、あの俺、何もできなくて、逃げて来ちゃいました…」
「…」
「だから、もんじ先輩を、助けて下さい!」
「…んなこと、わかってるよ。平太、喜三太、しんべヱは、先生方に曲者が侵入したことを伝えてくれ」
「「「わかりました!」」」
「さあ、お前も行け」
「…はい」
俺は、作兵衛に手を引かれて医務室に向かった。