恨み辛みの果て

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「雅!10周程度で何をへばってやがんだ!」
「ぐぇぇ…」



現在、藍色の制服を身に纏って絶讚体力作り中でございます。まず手始めにグラウンドを10周させられたが、すでに限界を迎えた。しかし、もんじ先輩の手にかかれば今日の訓練終わりーとはいかないようだ。



「次は腕立て伏せ50回だ!!」



なんて言われて腕立て伏せの体勢を取ったのはいいけど、腕を曲げたら伸ばせないのが俺の現状。つまり、俺は1回も腕立て伏せができない!

腕を曲げた時点で、HPは0。伸ばそうとしたら-100くらい。



「ばかたれぇぇええいッッ!!」
「ひえ〜…」



1時間くらいかけて50回の腕立て伏せを終えたら、今度は腹筋50回。明日は+50回とか言われた。それ今言わなくても良くない?めちゃくちゃモチベーション下がるよ。



「ふんっぐぬぬぬっ…」
「しっかり上体を上げろ!!!!」



いや、見事なスパルタ。現代っ子な俺にはキツいよ。ちょ、勘ちゃん見てないで助けて。

腹筋も同じく1時間くらいかけて終わらせ、ちょうど12時になった。そろそろお昼時だ。…ああ、おばちゃんの作った焼き魚定食が食べたい…



「雅、俺特製の特盛唐揚げ定食だ!」
「………いや…あの…俺…こういうごってりしたものは…」
「さあしっかり食え!残したら今日は池の中で寝てもらうからな!!」
「ひぃい〜…!」



で、俺はごってごてな油の塊のような唐揚げを完食した訳よ。午後は中在家先輩の“楽しい忍術教室”と立花先輩の“楽しい作法教室”があるというのに、具合悪くて死ぬ今日は勉強むり!といきたかったが俺の体は頑丈だった。全然余裕で食べきった。



「雅、迎えに来たぞ」
「あれ、中在家先輩が先では?」
「長次は急用ができてな。代わりに今日のみ私が2つを受け持つことになったのだ。安心しろ。使う教材は私自ら書いた“猿でも分かる作法”でやる。手取り足取り腰取り教えてやろう」
「腰は遠慮します」



何さりげなくセクハラ発言してんだこの変態は。やっぱり立花先輩は俺の苦手なタイプだ。しかし、五年生の授業についていくためには、この人達の指導が必要不可欠。大人しく従うしかないという身分が悔しい。



「明日は今日習ったことの確認テストをするからな」
「マジっすか…」



強くなるためとはいえ、この鬼畜なスケジュールはガチでキツい。誰か代わりにやって。習得した技は俺にインプットしよう。

…………………はぁ…
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