恨み辛みの果て

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「んー…」
「こらこら、ご飯食べながら寝ないの!」
「んー…」
「ダメだよ、ちゃんと食べないと。たくさん勉強して修行してるんだから、栄養はしっかりとらなきゃ」
「んー…」



雷蔵の声はしっかり脳まで届いている。が、俺の疲れきった脳は働くことを拒否し始めていた。それはもうぎっちり拒絶してるよ。

頭の中では、ベビーブームならぬ睡魔ブーム中で、耳から出てくるのではないかと思うくらい睡魔が大量にいるのだ。



「仕方ないなぁ…」
「げばぁッ!?」



いだだだだッッ!!雷蔵さん前髪掴まないで禿げちゃうぅぅッッ























――――――…



「ぐぇ…」
「はいっ完食!」
「し、死ぬぅ…」



前髪が解放されたのはいいけど胃がヤバい。雷蔵さんちゃっかり自分の嫌いなもの食べさせただろ。



「死ぬ、の…?」
「ええそりゃ死にますよ。前髪鷲掴まれて食べ物突っ込まれましたから」
「っ…ダメだよ…!死なせない!また死ぬなんて絶対許さない!」
「ぐふぇあッ!?らららら雷蔵さん落ち着い…ごぶっ」



は、腹が潰れるぅぅぅ…



「落ち着け、雷蔵。お前が潰してるよ」
「!ぁ…ごめん…」
「タヒる…」



今日学んだこと。
雷蔵の前で死ぬ発言は危険。

いろいろ出かけた。特に胃とかポロリするかと思ったよ。俺を殺す気だ…絶対絞め殺そうとしたぞコイツ…!



「もう寝る…」
「ああ。そういや、食満先輩がお前にってコレ」



三郎は、使い込まれて日に焼けた一冊の本を差し出した。それを受け取り中を見てみた。それは薙刀の扱い方や基本の型、独自に考案した技が図で詳しく解説された本だった。



「六年生は急に忍務が入ったらしい。明日は自主練しとくように、だってさ」
「あー、わかった…」



…これ、俺と全く同じ字だ。 筆で字を書くのも慣れて、最近はだいぶ上達した。まさか、これを書いたのって…



「あ、三郎、雷蔵、おやすみ。」
「おやすみ、」
「明日の自主練サボるなよ」
「サボらないよ」



俺は、強くならないと。元の世界に帰るために…―
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