恨み辛みの果て

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1週間が経つのは早いもので、全治1週間の怪我はすっかり治ってしまった。



「雅、怪我はもう平気か?」
「げ、立花先輩…」
「何だその嫌そうな顔は」



この1週間、消化しやすいという理由でお粥ばかりを食べていたから、久しぶりに焼き魚定食を堪能していた時に立花先輩にあってしまった。ありえない。

むぐむぐとご飯を食べ、お味噌汁で一気に流し込んだ。



「ごちそーさまでしたー」
「待て、なぜ逃げる」
「…いやぁ、逃げるなんてそんな滅相もない」



立花先輩とは、なるべく修行以外の時は関わり合いたくない。この人怖い。ドSだし。なんか女特有のねっとりした性格だし。



「お前は、いつも私を苦手だと言っていたな…」
「え?」
「今はそれでもいいさ。その内、お前は私のものになる」
「ここが食堂だということ忘れてません?おばちゃんがめっちゃガン見してますからやめてください」



頬を撫でられた。
軽くあしらってはみたが、先輩はくつくつと嫌な笑みを浮かべて俺の腰に腕を回した。この人は冗談でやってんのか本気でやってんのかよくわからん。だからこそ危険なんだ。



「お前は、やはり彼奴のことが…」
「へぁ?」
「彼奴の方が…」
「立花先輩、」



先輩の言葉を、誰かが遮った。
この人がもごもごするのとかレアシーンだよ。乙ゲーだったら、ここでスチルが出て、普段見れない切なそうな顔で言葉に詰まって、こりゃ恋愛フラグだぜやっほい!!ってなるところだ。

ちなみに俺はそういった類いのゲームはやったことない。作者の趣味だ。俺はやってない。大事なことなので2回言いました。



「作兵衛…」
「ここは公共の場です」
「わかっている」



作兵衛はむりやり俺と先輩の間に入り、先輩を押した。君は救世主だよ。

立花先輩は最初こそは驚いていたけど、すぐにいつもの余裕そうな笑みに戻った。



「焦っているな」
「…」
「ふっ…そんなに自分に自信が無いのか?」
「っ…」



どうしようついてけない。この人達何の話してんの?自信って?
まさか作兵衛、滝夜叉丸みたいに自分に自信を持ちたいのか。やめろ作兵衛。お前はそのままで十分だよ。

立花先輩は、ポンと作兵衛の肩に手を置き、耳打ちをした。あいにく俺には聞こえなかったけど。

作兵衛が固まってるってことは……
ぎゃあああああダメダメダメダメ!!いやダメじゃないけども!!まさかのホモぉ的展開…!?

いや、俺は別に気にしないよ…愛の形は人それぞれだし…うん…



「雅、午後からは文次郎と筋力トレーニングだったな」
「え、ああはい」
「遅れるなよ」



先輩は颯爽と立ち去っていった。

…なんだったんだいったい。
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