泡沫ノ恋
□first.
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今日、転校生が来た。
僕は別に転校生なんて興味ないけど。誰が来ても去っても、僕には関係ないし。
けど、さすがに今日来た転校生は無視できないな。
「ねぇ」
「はい?」
ああ、ほら。間違いない。
色白な肌も、大きな目も、明るい声も、全部そのまま。
「…」
「…」
「久しぶりに会ったのに、何なんだよその態度」
「へ?久しぶり…?」
大きな目をさらに見開き、すぐに伏し目がちになったかと思うと、黒目が右に動いたり左に動いたり、まるで僕を忘れていて必死に思い出そうとしてるようだ。
…忘れていて…?
「…お前、僕のことを忘れたのか」
「えっ?いや、あの、えっと…
(同じ幼稚園だったかな…いや、でもこんな美人な人、そうそう忘れないよね…)」
「…そうか、これは…まずいな…アイツが暴走しかねない…」
「(ぼっ暴走!?)」
覚えてないとなると、本当にまずい。アイツが知ったら、何をしでかすかわからない。
ああ、考えるのも煩わしい。
もう、どうでもいいか。
「あ、あの…?」
「…いや、何でもない。僕は伊賀崎孫兵。よろしく」
「は、ぁ…よろしくお願いします…」
さて、いつ彼女の存在が知れるのか…