泡沫ノ恋

□third.
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富松の家の前で止まったリムジン。私は、陰からそれの様子を伺っていた。ああああお願いだから無事でいて雅!

そう祈りながら待っていると、ドアが開かれた。中から出てきたのは、案の定富松作兵衛と…ああっ雅!やっぱり捕まったのね!?

富松作兵衛に抱えられ出てきた雅。見たところ外傷はない。
もう1台のリムジンからは、奴の手下共が出てきた。



「焦るなって言ったのに」



伊賀崎孫兵。


「雅ちゃん!あああ何ていうことをっ…」



三反田数馬。



「雅、起きたら逃げ出すだろうな」



浦風藤内。

あとの2人は、車には乗っていなかったようだ。



「ちんたらしてっと、他の奴等に盗られちまうじゃねぇか」



おのれ富松作兵衛ぇぇえ…
私の可愛い雅を放しなさいそしてハゲろ!!


ギリギリ歯軋りしながら見ていたら、突然浦風藤内が振り返った。慌てて隠れ、音だけで奴等の様子を伺う。今の私って忍者みたい!



「北石照代さん、だっけ」
「!」



もしかして、バレてる…?
他の奴等の声がしない。…ってことは、中に入ったのね。



「別に、彼女を傷つけたい訳じゃない。…でも、君が余計な事をしたら…傷つけちゃうかもね」
「拉致は犯罪よ!それでも雅を傷つけてないって言うの!?」
「両親にはしっかり話をしてきたよ。雅だって、了承の上連れてきた」
「なっ!?」



雅が了承した!?
いや、そんなわけないわ!会って1日だけど、そんなイケメンにホイホイついていくような子じゃないもの。きっと…絶対脅されたのよ!



「作兵衛は雅にすっかりご執心だから、手放す気はないと思うよ。北石さんも、危険な目に会いたくないなら、口出ししない事をオススメするよ。それじゃ…」
「あっちょっと待ちなさいよ!」



浦風は、私が呼び止めたのにも関わらず無駄に立派な門の奥に消えていった。

ああ…雅…私が必ず助けに行くから…
奴等に屈服しちゃダメよ!
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