泡沫ノ恋

□forth.
1ページ/4ページ

「室町ぃ!?」
「声がでかい」
「ちょ…何?アンタ達…電波だったの…?」



別室に連れていかれ、私はたくさんの有り得ない話を聞かされた。

私達は、室町時代で会っていること。富松達と雅は、その室町時代で忍術学園というところに通っていたこと。私はフリーの忍者だったこと。

一番衝撃的だったのは、富松と雅が恋仲だったってこと。



「アンタ達の話がもし仮に本当だとしたら、富松のあんちくしょうは相当未練たらしいわね。前世からの関係を引っ張ってくるなんて…」
「引っ張るのも当たり前だよ。雅は、突然死んでしまったんだから」
「…………え?」
「三年生の時、ちょっと事件が起きた。それで雅は目が見えなくなって、それから3年間ずっと、作兵衛が雅を支え続けた。……けど、雅は死んでしまったんだ。作兵衛が1週間の実習を終えて、帰ってくる直前にね」



まぶたの裏に、さっきの富松の姿が浮かんだ。私に刃物を宛がった奴と同一人物だとは思えないくらい、弱々しく雅を抱き抱えていた。あれは、酷く怯えているようにも見えた。



「作兵衛は、ずっと雅だけを愛していた。これからもそうだ。邪魔をするのなら、俺がお前を殺す」
「な、何よ…私を脅す気!?そんな信憑性もへったくれもない話で!」



浦風は、本気の目だった。伊賀崎は興味無さげに蛇と戯れていたけど、きっと奴も浦風の味方だわ。そもそも、一番最初に雅に目をつけたのはアイツだもの。



「私は信じないわよ」
「いいよ。信じて欲しいなんて思ってない」
「……そんなことより、雅は大丈夫なの?医者は呼んだ?」
「医者なんて必要ない。数馬は、そこら辺の医者なんかより腕は良いんだ」
「医師免許も持ってない奴に治療させないでよ!」



なんて奴らなの!!

と憤慨したのも束の間。襖が突然開いて、三反田が部屋に入ってきた。



「雅ちゃんは大丈夫。ただの知恵熱だよ。いろんなことがいっぺんに起こったから…」
「知恵熱って…っは!そういえば富松は!?」
「雅ちゃんの手を握って放さないから、そのままにしておいたよ」
「あああああんな変態野郎と2人きりにしたの!?今度はディープじゃ済まないわ強姦される雅が犯されるわ!!!!!」
「落ち着いてよ北石さん。作兵衛だって反省してるんだよ。今はそっとしてあげてくれないかな」



三反田は常識人かと思ったら、やっぱり富松の仲間だわ!!結局、富松が良ければそれでいいって言うのね。

ますますここには置いておけない。私は絶対、あの子を取り戻して家に帰すのよ。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ