泡沫ノ恋

□six.
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「…大丈夫?」
「うん、ごめんね…授業の途中で…」
「何言ってんのよ、友達じゃない」
「ありがとう…」



特に具合が悪い訳ではない。ただ、遊佐くんから離れたかった。それなのに、照代ちゃんは優しく介抱してくれた。

ベッドに横たわると、布団をかけてくれた。熱がないか確認したり、水を用意してくれたり、本当にできた嫁…ゲフンゲフン…



「ありがとう、照代ちゃん。私はもう大丈夫だから…戻ってて…」
「本当に…大丈夫なのね?」
「うん」
「そう…じゃあ、1度戻るわね。次の休み時間に様子を見に来るわ」
「わかった。ありがとう」



照代ちゃんを見送り、1人ため息を吐く。なんだか、どっと疲れが襲ってきたようだ。

…少し眠ろう。もう、何も気にすることなく、好きなだけ眠ってしまいたい。
































――――――…



今日は、珍しく雅が体育の授業を見学していた。何か思い詰めた表情で試合を見届けては、俯いたり、ため息をついている。

具合が悪そうで、チラチラ見ていたら、知らねぇ男が雅に話しかけて来やがった。雅は嫌悪感を隠そうともせず、男を無視し続けている。



「ん、あれ遊佐じゃね?」
「知ってんのか、三之助」
「…ウチのクラスの奴だろ。いい加減自分のクラスメイトの顔と名前ぐらい覚えろよ」
「興味ねぇ」



俺は、自分でも驚くぐらいに他人に興味がねぇ。顔も名前も知らねぇ奴が、同じクラスだったっつーことが何度もあった。



「そんな作兵衛に気になる情報!」
「左門、声のトーン落として言えよ」
「おう!あのなぁ…あの遊佐って奴は、雅に告白したんだ」
「は、」
「雅は断ったけどな!」
「っ…」



息が、詰まった。
やっぱり、早く行動を起こさねぇとまずいんじゃねぇか。あの男の様子からして、諦めたわけじゃなさそうだ。



「あ、雅がどっか行っちゃった」
「北石もいないぞ!」
「なるほど…あの2人は授業中に抜け出すくらい親密な関係…あいてっ」
「下らねぇこと言ってんじゃねぇよ」



北石が一緒にいるんなら、大丈夫だろう。

それにしてもあの遊佐って野郎…何か引っ掛かりやがんだよな…
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