泡沫ノ恋

□seventh.
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「えっじゃあメアドも教えて貰ったんだね!?」
「おぅ…」



帰ってから、雅を送らせた運転手からメモを渡された。それは、数字と小文字のアルファベットが並んでいた。どうやら、携帯の電話番号とメールアドレスのようだ。



“迷惑でなければ、メールして欲しい”



そう雅が言ったらしい。ということは、これは雅のメモだ。

数馬に今日のことと、メモのことを話すと、確認するように冒頭の台詞を言った。



「良かった!焦らなくて良かっただろ?」
「ああ…」



メール…してもいいだろうか…
迷惑、じゃねぇかな…

書かれていた番号とアドレスは、しっかり登録した。けど、メールを送る決心はまだつかない。



「メール、した?」
「いや…」
「ダメだよメールしないと!雅ちゃんがせっかく申し出てくれたんだから!」
「な、何て送ればいいんだよ…」



メールなんてほとんどやらねぇし…携帯はあっても無いようなもんだ。



「普通に“登録よろしく”でいいだろ」
「…孫兵、ダメだよそんな…僕らに送るメールならともかく、雅ちゃんは女の子なんだから」
「ここは、女の子に関してはエキスパートな三之助さまが助けてやろう。感謝したまえー」
「何キャラだよ。つーか、おめぇに任せたら完全にタラシ野郎のメールになっちまうだろーが」



雅が、自分から歩み寄ってくれたんだ。誰に言われるわけでもなく、自らの決断で。

だから、俺も自分でちゃんと考えたい。

だったら最初から何書けばいいかなんて聞くなって話だけどよぉ。



「じゃあ、雅に伝えたいことを箇条書きにして、それをまとめればいいんじゃないか?」
「おお、左門にしては良い意見だな」
「まーな!」



結局、左門の意見を採用した。
広告の裏に、次々と伝えたいことを書き出していく。

伝えたいことはたくさんある。



「……ふぅ…」
「すごいいっぱいあるな…」
「何だよコレ。3分の2はぶっ飛んだ内容じゃないか」
「うーん…好きとかは止めとこう。今はあくまで“友達”として近づかなきゃ」



で、下書きをしては添削されを繰り返し、結果できた文面はこれだ。

“アドレスと番号書いたメモ受け取った。

お前には悪いことしたから、まさか歩み寄ってくれるとは思ってなかった。

すげぇ嬉しかった…

ありがとう

富松作兵衛”



「…なんかむず痒くなる文だな」
「女の子はそういうのが好きなんだよ。大丈夫、これは作兵衛の気持ちを言葉だけ変えて表現したものだから」
「送信!」
「あっバカ左門!まだ心の準備がっ…」



初めてのメールは、左門によって(強制的に)送信された。とりあえず左門はぶん殴っておこう。



「雅、返信してくれるといいね」
「どんな内容かな」
「いやん富松くん大好きっとかそんなん」
「雅ちゃんがそんなアホっぽい女子みたいなメールを出すわけないだろ!」



藤内も孫兵も三之助も、勝手なことばっか言いやがって…

でも、早く返信が来ないか、そわそわしちまう。顔がにやける…



「メールも一段落したし、ご飯にしよう。今日は天ざるだって」
「大盛り!」
「僕に言われても…炊事担当の奴に言えよ」
「台所はこっちだー!」
「左門、そっちは厠だ。台所はこっちだろ」
「そっちは風呂場だ」



携帯なんか必要ねぇと思ってたが、もう手放せねぇな…

ああ…早く返信来い…
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