泡沫ノ恋

□nineth
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「…数馬、どうする?」
「これ以上は、雅ちゃんがもたねぇよ」



真夜中の会合は、僕たちにとって慣れっこだ。作兵衛には寝てもらったけど、僕たちにはやるべきことがある。



「まだ…早い」
「…数馬、」
「雅ちゃんは、もうほとんど作兵衛に警戒心を抱いてない。けど、北石さんは違う」
「北石のことなんかどうでもいいじゃないか。雅は追い詰められる一方だぞ!」



左門の言う通り。見る限り、雅ちゃんはだいぶ追い詰められている。けど、そのために僕たちがいるんだ。僕たちが支えてあげなくちゃ。



「遊佐には、徹底的に潰れてもらわなきゃならない。個人的にも、世間体的にも」
「世間に顔向けできないくらい徹底的に、な…」
「それには、まだ材料が不十分だということか」



藤内と孫兵は、口端を上げた。遊佐を潰す日を、待ち望んでいるから。



「遊佐を潰すには、北石さんの協力が必要だ。遊佐が行動すればするほど、雅ちゃんを守るために、北石さんは僕たちに頼る他なくなる」
「結果、作兵衛と雅ちゃんの仲が深まる、と」
「なるほどなー」



雅ちゃん…
ごめんね、辛いよね。
僕たちが君を守るから、今だけは耐えて。

絶対に、遊佐なんかに渡さないから。























――――――…



“裏切り者裏切り者裏切り者裏切り者裏切り者裏切り者裏切り者!!
お前みたいな淫乱女には罰をくれてやる。そんなに男が欲しけりゃくれてやるよ”



「……」



さっき遊佐くんから来たメールだ。

私がいったい何をしたというの…?ただ、彼の告白を断っただけ。それがいけなかったというの…



「ふっ…く、ひぐっ…」



怖くて、辛くて、私はずっと泣いた。お父さんやお母さんには心配させたくなくて、言い出せない。けど不安ばかりが募っていく。

誰かに助けてもらいたい。解決して欲しい。…けど、これは私の問題だから…私が解決しなくちゃいけないんだ…



明日…遊佐くんに話して止めてもらおう…
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