白蝶編

□第3訓
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おずおずと声を出すと、ドアを閉め改めて部屋を見た。

部屋の真ん中にテーブルがあり、その机を挟んで向き合うようなかたちで、ソファが2つある。

部屋の角にはテレビがあり、それに近い壁にある窓から、月がこっそりと見えた。

その窓から少し離れた位置に、事務デスクと思える机が置いてある。



そして、そのソファに座っていた人が、ニコッと可愛い笑顔を見せた。

『いらっしゃいませヨ!

いま新八がお茶を淹れてるから、待ってるヨロシ。』

その子は13〜14歳くらいの女の子だった。



『銀ちゃん……どこでそんな可愛いコを見つけてきたアルか?

いくら可愛くても、コスプレ最中のところ連れてこなくても良かったのに。』

そう淡々と話す彼女は、「中国」というイメージの強い赤い服を着ている。

耳よりは少し後ろで、後頭部よりは手前あたりに、黒と黄と紫の柄の髪飾りのようなものをつけていた。



神楽『あ、私の名前は「神楽」アル。

気軽に「神楽〜」でいいアルヨ。』

神楽はそう言うと、自分が座っているソファの隣をポン、と叩いた。

それが「ここに座って」という意味だと悟り、幸恵は、おずおずと隣に座った。



神楽『そんなオドオドしないでも平気アルヨ。

もっと我が家だと思って、こうやって、どーんとくつろぐネ。』

神楽はそう言って、腕を広々と伸ばしてみせる。

幸恵は少し肩の力を抜いた。

神楽はその様子を見てにこっと笑った。
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