新訳ミツバ篇
□第1章
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近藤『わっはははは!!』
屯所の局長室では、近藤の元気な笑い声と、客のおしとやかな笑い声が響いていた。
近藤『そうかそうか。
いや、それはめでたい!
式には、ぜひ真選組総出で出席させてもらうよ。』
その客は垂れた首元の襟を直し、微笑みを浮かべた。
ミツバ『でも正直、結婚なんてもう諦めていたのよ、こんな体だし。
こんなオバさん誰ももらってくれないって…。
感謝しなきゃね。』
屯所に来ていた客は、総悟の姉のミツバだった。
近藤はミツバのそんな言葉に、首を横に振った。
近藤『いやいや、ミツバ殿は昔と何にも変わらんよ。
キレイでおしとやかで賢くて。
総悟もよく話していたよ、自慢の姉だって。』
ミツバ『もう!
おだてても何も出ないわよ。』
ミツバが近藤の言葉に、そう笑ながら言った。
部屋には再び楽しそうな笑い声が響く。
一方、局長室のふすまの向こう側では、ミツバと近藤の会話をこっそり覗いている隊士たちがいた。
『オイ、誰だ?
あのべっぴんさん。
何しゃべってんだ?
何笑ってるんだ?』
『結婚がなんたら言ってなかったか?』
『んだとォ!
お妙さんという者がありながら局長の野郎ォ…』
『しーっ!!
静かにしろ、バカ。』